特別展「平安の秘仏 ―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」

 

特別展

「平安の秘仏

 

―滋賀・櫟野寺の大観音とみほとけたち」

 

 

 

櫟野寺所蔵の重要文化財全20体、初めてすべて出陳。

 

入場者10万人突破。

 

まもなく、15万人突破(予想)(11/24時点 約146000人)

 

 

 

 

 

 

 

忍者の里、滋賀県甲賀市 福生山(ふくしょうざん)に位置する櫟野寺(らくやじ)。

 

秘仏「十一面観音菩薩坐像」(重要文化財)を本尊とする天台宗の古刹だ。

 

櫟野寺所蔵の重要文化財全20体、すべてを一挙に公開する展覧会が東京国立博物館で開催中である。

 

平安仏教(へいあんぶっきょう)とは、平安時代より興隆した日本仏教の宗派だ。真言宗、天台宗の二宗をさすことが多い。

 

櫟野寺は、延暦11(792)に最澄が延暦寺の建立に際して良材を求めて甲賀を訪れ、櫟(いちい)の霊木に観音像を刻んだことがその始まりという。

               重要文化財 「十一面観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

奈良仏教が都市仏教であったのに対し、平安仏教の特徴は山岳仏教だ。

 

最澄は比叡山に延暦寺を、空海は高野山に金剛峯寺を開いたことからもその特徴がよくわかるだろう。

 

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櫟野寺の紅葉 撮影=藤原弘正

 

征夷大将軍の坂上田村麻呂が山賊追討の祈願成就をよろこび、堂塔を寄進したとの伝承も。

 

何といっても白洲正子が「かくれ里」とも呼びこの櫟野(いちの)の地を近年有名にしたことが大きいだろう。

 

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櫟野寺 本堂 撮影=藤原弘正

 

櫟野寺(らくやじ)の本尊、十一面観音菩薩坐像の制作は10世紀半ばとされる。

 

ここを拠点として数多くの天台寺院が建立されていたため、当時、櫟野寺が甲賀における仏教文化の中心であったことがしのばれるのだ。

 

十一面観音菩薩坐像は像高が3m

 

薬師如来坐像は2.2m

 

そのスケールの大きさには圧倒される。

 

1.十一面観音菩薩坐像.jpg

重要文化財 「十一面観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

櫟野寺の重要文化財に指定される平安時代の仏像が20体すべてを寺外で展示されるのは初めて。

 

この展覧会では、他にも、11体の観音や、どこか親しみのある毘沙門天立像、文治3(1187)に造られたことが知られる貴重な地蔵菩薩坐像なども出品されている。

 

 

 

☆みどころ

 

1.重要文化財 十一面観音菩薩坐像 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

重要文化財に指定された十一面観音菩薩坐像では日本最大。像高3mを超す大観音。

 

頭と体は一本の大木から彫り出されている。

 

重厚だが、美しく整った顔。迫力と穏やかさを併せ持ち、10世紀の仏像の特徴を色濃く表している。

 

周丈六(しゅうじょうろく)。

 

☆周丈六とは?

 

中国古代の単位周尺。周は中国の時代の名称。

 

16尺のことを、略して丈六という。16尺は約4.85メートルといわれるが、時代によって異なり、周丈六はその約4分の3、すなわち3.6メートルほど。

 

いずれにせよ、仏像が優れていることを表現する方法のひとつだ。

 

3.十一面観音菩薩坐像.jpg 

 

重要文化財 「十一面観音菩薩坐像」 平安時代・10世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

 

 

2.重要文化財 薬師如来坐像 平安時代・12世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

   左手に薬壺をもち、病気平癒をつかさどる薬師如来像。

 

本尊よりは小さいものの、仏像に求められる理想的な大きさである周丈六を基準に表された像高2.22mの大作。

 

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重要文化財 「薬師如来坐像」 平安時代・12世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

寄木造りでその穏やかな表現は、都の大仏師、定朝(じょうちょう)の作風を模範とする定朝様。

 

定朝様の特徴は、浅く平行して流れる衣文、円満で穏やかな表情、浅い肉付けで平安貴族の好みを反映している。

 

最澄が開創した延暦寺根本中堂の本尊は薬師如来であり、いかにも天台宗の古刹、櫟野寺にふさわしいみほとけ。

 

甲賀三大仏と呼ばれ、櫟野寺の筆頭末寺であった、油日岳奥の院 詮住寺の本尊であったと言われている。

 

3.重要文化財 地蔵菩薩坐像 平安時代・文治3(1187)滋賀・櫟野寺蔵

 

 地蔵菩薩は、釈尊が入滅したのち、弥勒がこの世にあらわれるまでの567千万年という長い間、我々を救って歩くという役目をもっており、古くより信仰されて来た。

 

この像は像内の銘文から、文治3(1187)に造られたといわれている。鎌倉時代の始期については従来の1192年の征夷大将軍就任説など諸説あるが、東国支配権の承認を得た1183年説と守護・地頭設置権を認められた1185年説がある。

 

この展覧会では、文治3年は平安時代に区分されている。

 

この時代は、平安時代に流行った定朝様に対し、鎌倉時代に活躍した仏師運慶らによって男性的な力強いそして写実的な仏像が造られるようになった頃である。

 

櫟野寺周辺ではまだこのように、平安風で穏やかな姿の像が造られていたことがわかる。

 

5.地蔵菩薩坐像.jpg重要文化財 「地蔵菩薩坐像」 平安時代・文治3年(1187) 滋賀・櫟野寺蔵

 

4.重要文化財 観音菩薩立像 平安時代・1011世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

 櫟野寺には、10世紀~12世紀にかけて造られた観音菩薩が複数存在する。観音への信仰がこの地に深く根ざしていた表れだ。本像はそのなかでもすぐれたできばえの像で、切れ長の目に細身に表された体つきは優美。

 

6.観音菩薩立像.jpg重要文化財 「観音菩薩立像」 平安時代・1011世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

5. 重要文化財 毘沙門天立像 平安時代・1011世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

 平安時代の初めに坂上田村麻呂が鈴鹿山の山賊の追討を櫟野寺で祈願し、それが叶うと毘沙門天像を造って安置したという。この像は1011世紀頃に造られた。目をつり上げ、口をへの字に歪める表情、腹部に表された奇妙な顔にも注目。

 

7.毘沙門天立像.jpg重要文化財 「毘沙門天立像」 平安時代・1011世紀 滋賀・櫟野寺蔵

 

櫟野寺が、重要文化財の日本最大の十一面観音菩薩坐像を有することをこの展覧会で知ったかたも多いであろう。

 

櫟野寺の重要文化財全20体すべてが一度に鑑賞できる大変珍しい展覧会。

 

この展覧会を鑑賞した後、改めて櫟野寺を訪れてみるのもよし。

 

ただし、大開帳の事業として本堂・文化財収蔵庫(宝物殿)の改修を行なっている。そのため、仏像等の拝観を休止中だ。

 

 休止期間は、平成28年6月から平成30年10月まで予定。

 

仮参拝所でお参りとご朱印は可。

 

改修中だからこそ実現できた展覧会。お見逃しなく。

 

 8.櫟野寺 千灯祭.jpg

 

                            櫟野寺 千灯祭 撮影=藤原弘正

 

 2016913()20161211()

 

  場 東京国立博物館 本館特別5室(上野公園)

 

開館時間 9:3017:00(入館は閉館の30分前まで)

 

 (ただし、会期中の金曜日は20:00まで)

 

休館日 月曜日

 

観覧料金 一般1000(900)、大学生700(600)、高校生400(300)

 

中学生以下無料

 

( )内は20名以上の団体料金

 

* 障がい者とその介護者一名は無料。入館の際に障がい者手帳などをご提示のこと。

 

*正門チケット売場(窓口)にて「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1000円を900(100円割引)

 

  催 東京国立博物館、櫟野寺、読売新聞社

 

後 援 TBSラジオ

 

協 賛

 

 日本写真印刷

 

  力 日本通運

 

お問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

 

☆展覧会公式サイト

 

  http://hibutsu2016.com/

 

☆展覧会関連サイト 「櫟」普及委員会  

 

http://raku-iinkai.com/

 

☆櫟野寺

 

     http://www.rakuyaji.jp/

 

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   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

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