つながる琳派スピリット 神坂雪佳 KAMISAKA Sekka:Inheriting the Timeless RIMPA Spirit

つながる琳派スピリット 神坂雪佳

KAMISAKA Sekka:Inheriting the Timeless RIMPA Spirit

 

 

 

以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

 

 

神坂雪佳 『百々世草』より「狗児」 明治4243年(190910)刊 細見美術館蔵

 

近代京都において図案家・画家として活躍した神坂雪佳(18661942(かみさか せっか)1796年~1858年)。

細見美術館における琳派展第22弾となる神坂雪佳の展覧会が細見美術館において開催中だ。

江戸初期の京都で俵屋宗達(生没年不詳)ら(17世紀前期に活躍)が創始した琳派。

その約100年後、尾形光琳(1658年~1716年)を経て、江戸時代には絵画の中でも

最も華麗な装飾様式として確立。

 

その約100年後に、江戸の地で琳派の再興を図ったのが酒井抱一。

さらに約100年後、神坂雪佳は、近代京都において図案家・画家として活躍。

 

 

琳派400年関連の展覧会は以下などで記しているので参照されたし。

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-04-05

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-05-25

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07-1

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-23

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13

 

 雪佳は、光悦や光琳ら琳派の活動や作風に共感し、これを新しい時代にふさわしいデザインに昇華させた。

雪佳の活動は絵画にとどまらず、染織、陶芸、漆芸、室内装飾や庭園に至る実に多彩だ。

 

この展覧会では、宗達や光琳、抱一など江戸時代の琳派を辿りながら、マルチアーティスト・雪佳の図案集、雪佳がデザインした工芸作品や絵画を紹介している。

神坂雪佳とは。

御所勤の武士、神坂吉重の長男として京都に生まれる。

はじめ四条派の画法を習うが、岸光景のもとで図案を学んだ。

図案家として欧州視察などを経験、琳派に関心を抱き「光琳の再来」とも評された作風を築く。染織、陶芸、漆芸から室内装飾や造園まで幅広い活動を展開、絵画作品も多数残る。図案や工芸の研究団体を主宰したほか、美術雑誌の編集を務めるなど、明治から昭和はじめにかけて京都の図案・工芸界を牽引した。

以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

神坂雪佳 春花絵手箱 大正末~昭和初期 個人蔵

 

神坂雪佳 図案 / 木村秀雄 作 住之江蒔絵色紙箱 大正期 細見美術館蔵

 

神坂雪佳 水の図向付皿図案 大正9年(1920)頃 個人蔵

 

神坂雪佳 図案 / 四代・五代 清水六兵衞 作 水の図向付皿 大正9年(1920) 個人蔵

 

光悦や光琳に傾倒し、琳派の研究や作品蒐集を行ったほか、光悦の功績を顕彰する光悦会の発起人にも名を連ねた。

この展覧会では図案集の代表作『百々世草』のほか、雪佳最初の著作である着物のデザイン集『都の面影』、ユーモラスな意匠集『滑稽図案』、渡欧の船中で構想したという『染織図案 海路』、最後の著作となった芦手絵集『うた絵』などを紹介。

 伝統の手法や古典的なモチーフを用いながらも雪佳ならではの明快でモダンな図案が魅力的だ。

神坂雪佳 金魚玉図 明治末期 細見美術館蔵

 

京都の図案・工芸界を牽引した雪佳は、研究団体を組織して新しい図案や工芸の在り方を模索した。京都で培われた高度な技術に創作を共立させ、日常的な美として広まることを意識し、工芸家たちと作品を手掛けた。

実弟・祐吉(18861938)も漆芸家として雪佳と共作をしている。

弟の陶芸作品に兄が絵付けを行った光琳・乾山兄弟のような関係だろう。

雪佳は四季の草花、古典文学、吉祥モチーフなど日本で長らく愛されてきたテーマを多く描いている。四条派の絵画技法を学んだ雪佳は、その描写力を基盤とし、たらし込みやゆったりとした輪郭線など琳派の手法を巧みに用いて色鮮やかな画面を作り出している。

モチーフの構成、配色にみる感性は、図案家として培ったものであろう。

おおらかで品ある雪佳独自の絵画は、さまざまな空間を彩り、日常に寄り添う美として親しまれている。

 江戸時代のはじめに王朝美の復興をめざして書画、工芸、茶の湯などに独自の美意識を展開、実現した本阿弥光悦(15581637)に対し、雪佳は「光悦の芸術は実に世界無比である、絶対である」(「光悦の芸術」『京都美術』第37号、大正4/1915)と語っている。

身の回りを美しく飾るデザインを数多く生み出した雪佳が目指した創作の在り方は、光悦の境地を手本としていたのかもしれない。

 雪佳は、2012年には、オーストラリアのシドニーのニューサウスウェールズ州立美術館で「神坂雪佳:近代日本の美術・デザインの巨匠」展が開催されたり、図案集『百々世草』(明治4243年/190910)の「つ橋」がエルメス発行の雑誌『ル・モンド』の表紙に掲載されるなど近年評価が高まっている。

それを表紙に起用したエルメスの雑誌『ル・モンド』も展示されている。

 『ル・モンド』は、エルメス製品を紹介するだけでなく、デザインや芸術、文化にもエッジを利かせた編集で評判が高い。

撮影 浦 典子

      参考 https://artnews.blog.ss-blog.jp/2013-06-06-2

 

神坂雪佳 『百々世草』原画より「八つ橋」 明治42年(1909)頃 芸艸堂蔵

 

 ちなみにこの展覧会では、雪佳の「杜若図屛風」も展示されている。

 

神坂雪佳 杜若図屛風 大正末~昭和初期 個人蔵

 

撮影 浦 典子

 

 

 文化芸術に造詣の高いエルメスをもうならせた雪佳。

芸術性とかわいらしく親しみを持てるデザインの両方をつむぎ出した雪佳は、芸術と工芸の垣根を取っ払った。

その才能に敬意を表したい。

 

神坂雪佳 十二ヶ月草花図 より「六月 紫陽花」 大正末~昭和初期 細見美術館蔵

 

会期:2022423() - 619()

【前期】423() - 522() 【後期】524() - 619()

開館時間 : 午前10- 午後5時(入館は午後430分まで)

休館日 : 毎週月曜日

入館料 : 一般 1,500円 学生 1,200

※現在、団体での来館ご予約不可。(団体割引料金のお取り扱いは中止。)

※障がい者の方は、障がい者手帳などのご提示で100円引き

主  催 : 細見美術館 京都新聞

特別協力 : 芸艸堂

企画協力 : 株式会社アートワン

 

[ホームページ]

       https://www.emuseum.or.jp/

☆読者プレゼント 

   24名様にご招待券 プレゼント

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

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☆巡回予定

パナソニック汐留美術館 (東京)

 |20221029()1218()

 

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