日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念特別展 「邂逅(かいこう)する写真たち― モンゴルの100年前と今」 Special Exhibition “100 Years of Mongolia: Encounters through Photography”

日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念特別展

「邂逅(かいこう)する写真たち―

モンゴルの100年前と今」

Special Exhibition

“100 Years of Mongolia: Encounters through Photography”

 

 

 

 

 現在、東と南の二方向を中国内の内モンゴル自治区に、同じく中国内の西を新疆ウイグル自治区に接し、北をロシア連邦に接するモンゴル。

 19世紀には、外モンゴルから内モンゴルにかけては、清朝の支配下に置かれていた。

 20世紀に入ると清朝はロシア帝国側の侵略を防ぐ政策を実施し、辺境への漢人入植制限を廃止した。

 1911年に辛亥革命の後、独立のための財政援助をロシアに求めていたハルハ地方(外モンゴルの多くの地域)の王侯たちは清からの独立を宣言した(Mongolian Revolution of 1911)。

モンゴルにおけるチベット仏教界で最高権威かつ民族全体のシンボルとして君臨していた化身ラマ=活仏(かつぶつ)のジェブツンダンバ・ホトクト8世(ボグド・ハーン)をモンゴル国の君主(ハーン)として推戴し、ボグド・ハーン政権を樹立した。

100年前のウランバートル(首都)は、活仏にして皇帝、ボグド・ハーンが治める「聖なる都」だった。

その頃、アメリカ、ノルウエー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、フランス、ポーランド、イギリスなどかなり多くの欧米の国々からの探検家たちが中央アジアを越えモンゴルに到達し、探検家たちは多くの写真を残し現在に伝えている。

100年前と現代のモンゴルの主に写真を展示する展覧会が、国立民族学博物館において開催中だ。

「邂逅」とは思いがけなく出会うことやめぐり会うことを意味する。

欧米人がウルガと呼んだこの都の中心には、活仏の黄金の宮殿が燦然(さんぜん)と輝いていた。

以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

ウルガの女性(部分)/1909 年/S. パルシ撮影/

フィンランド文化遺産庁民俗学画像コレクション

©The Finnish Heritage Agency

市場には、騎馬でものを買う人びとの姿が見える。 “エキゾチックな”遊牧民たちの姿も興味深い。

草原の若者たち/1909 年/S. パルシ撮影/

フィンランド文化遺産庁民俗学画像コレクション

©The Finnish Heritage Agency

 

漢人商人の様子も写真に残されている。

野菜を売る漢人とモンゴル人女性の客/1914年ごろ/I.A.チチャエフ氏のアルバムよりFrom the Album of I.A.Chichaev

 

ウルガの警備兵たち/1913年/O. マーメン撮影  オスロ大学文化史博物館蔵 cThe Oscar Mamen family/The Museum of Cultural History, University of Oslo

 

自転車に乗る買売城の税関官吏ロブサンジャンツァン/1913/ O. マーメン撮影  オスロ大学文化史博物館蔵 cThe Oscar Mamen family/The Museum of Cultural History, University of Oslo

 一方、現代、モンゴルの写真家たちも自らの社会を見つめ、写真で表現するようになった。

ある少女/2016 年/B. インジナーシ撮影

©Injinaash, Bor

 ウランバートルは、人口160万人を越えるグローバル都市へと変貌(へんぼう)を遂(と)げた。

首都の新しいシンボルは巨大なチンギス・ハーン像だ。

首都の中心部には、高層ビル群が林立し、華やかな都市文化が花開く。

チョコ・ナイトクラブ/2017 年/

B. インジナーシ撮影 ©Injinaash, Bor

 

地下のアングラ・バーにて/2017

B. インジナーシ撮影 ©Injinaash, Bor

しかし、都市の周縁部には、未だ遊牧民の移動式テント、ゲルが密集する「ゲル地区」が広がっている。

また、草原も変貌を遂げつつある。

今や大草原と遊牧民はモンゴルの重要な観光資源である。

その一方で、定住化が進んでおり、鉱山開発による環境汚染も懸念(けねん)されている。

こうした現代のモンゴルのリアルを気鋭の写真家B.インジナーシらが写し出している。

 

一生懸命に勉強する子どもたち/2017

B. インジナーシ撮影 ©Injinaash, Bor

 

シャングリラ・モールにて/2021 年/

B. インジナーシ撮影 ©Injinaash, Bor

 

身長測定/2016 年/

B. インジナーシ撮影 ©Injinaash, Bor

 

本展示は、写真をめぐる100年の時空を越えた邂逅-出逢(であ)い-をテーマにしているのだ。

100年の間に彼らが得たもの、失ったもの。

わが日本が次の100年に向けてどうすべきか学ぶ材料になろう。

 

会 期     2022317日(木)~ 531日(火)

会 場     国立民族学博物館 特別展示館

開館時間              10001700(入館は1630まで)

休館日    水曜日

主 催     国立民族学博物館

協 賛     在徳島モンゴル国名誉領事館

協 力     国際モンゴル学会、モンゴル科学アカデミー、モンゴル国立公文書館、チンギス・ハーン博物館、ボグド・ハーン宮殿博物館、ザナバザル美術館、HIS Mongolia、ロシア地理学教会、ロシア民族誌博物館、オーブルチェフ記念キャフタ地方伝承博物館、ロシア科学アカデミー・ピョートル大帝記念人類学民族学博物館(クンストカメラ)、ロシア科学アカデミー物質文化史研究所、アメリカ議会図書館、アメリカ自然史博物館、オスロ大学文化史博物館、ウプサラ大学図書館、フィンランド文化遺産庁、デンマーク国立博物館、フランス・オー・ド・セーヌ県立アルベール・カーン美術館、ポーランド科学アカデミー、国立大学法人鳥取大学 乾燥地研究センター、国立大学法人鳥取大学 国際乾燥地研究教育機構、総合地球環境学研究所、千里文化財団

後 援     モンゴル国大統領府、駐日モンゴル国大使館、在大阪モンゴル国総領事館、日本モンゴル文化経済交流協会

観覧料    一般880円(600円)、大学生450円(250円)、高校生以下無料

※本館展示もご覧になれます。

※( )は、20名以上の団体料金、大学等の授業でご利用の方、3ヶ月以内のリピーター、満65歳以上の方の割引料金(要証明書等)。

※大学等は、短大、大学、大学院、専修学校の専門課程。

20名以上の学校団体(大学)については、国立民族学博物館展示割引観覧料相当額(大学生200円)で観覧可。

※障がい者手帳をお持ちの方は、付添者1名とともに、無料。

※大学生、一般の方は万博記念公園各ゲートで、国立民族学博物館の観覧券をお買い求めのこと。同園内を無料で通行可。

※高校生以下、「国立民族学博物館友の会」会員の方は万博記念公園各ゲート有人窓口で、みんぱくへ行くことをお申し出いただき、通行証をお受け取りのこと。

※万博記念公園をご利用になる場合は、同園入園料が必要。

 

☆国立民族学博物館 ホームページ

https://www.minpaku.ac.jp/

 

関連催し

みんぱくゼミナール

「ドキュメンタリー写真家B.インジナーシが見た現代モンゴル」

日時:2022521日(土) 13301500

場所:みんぱくインテリジェントホール(講堂) ※オンライン(ライブ配信)あり

講師:B.インジナーシ(写真家)、港千尋(写真家・多摩美術大学教授)、川瀬慈(国立民族学博物館准教授)

司会:島村一平(国立民族学博物館准教授)

要事前申込/参加無料

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