大阪中之島美術館 開館記念「Hello! Super Collection 超コレクション展―99のものがたり―」Nakanoshima Museum of Art, Osaka Opening Exhibition
Hello! Super Collection—
99 Untold Stories
佐伯祐三 《郵便配達夫》
1928年、大阪中之島美術館
2022年2⽉2⽇大阪中之島美術館が開館した。
1983年に構想が発表されてから約40年。
途中、さまざまな紆余曲折を乗り越え、美術ファンには待ちに待った美術館だ。
そのオープニングを飾る展覧会が開催中だ。
これまでに収蔵した6000点を超えるコレクションの中から約400点の代表的な作品を選び一堂に公開するもの。
この展覧会では、コレクションに親しみを持っていただけるよう、作品にまつわる99のものがたりもあわせて紹介。
なぜ、「99」なのか。
これは、「99」は未完成であることを意味しており、それぞれのかたがたの100個目のものがたりで展覧会は完成するという展覧会だからだ。
カスタマー目線に沿ったコンセプトは大変好感が持てる。
構成は、3つの章により⼤阪中之島美術館の収集活動の特徴を紹介するもの。
第1章 Hello! Super Collectors
大阪中之島美術館のコレクション形成史は1983年にスタート。
美術館構想の契機となった「山本發次郎(はつじろう)コレクション」をはじめ、初期に寄贈を受けた「田中徳松(とくまつ)コレクション」「高畠(たかはた)アートコレクション」を紹介。
1990年に美術館準備室が設置されると、収集方針に従った本格的な作品収集が始まる。
本章後半では、館コレクションの特徴の一つである、大阪と関わりのある近代・現代美術から、小出楢重(ならしげ)、北野恒富(つねとみ)、前田藤四郎、吉原治良などによる作品を紹介。
おもな出品作家
佐伯祐三、白隠、マリー・ローランサン、キスリング、荻須高徳、上村松園、赤松麟作、小出楢重、鍋井克之、小磯良平、北野恒富、島成園、竹内栖鳳、池田遙邨、山沢栄子、前田藤四郎、吉原治良、今井俊満ほか
以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。
マリー・ローランサン 《プリンセス達》
1928年、大阪中之島美術館
池田遙邨 《雪の大阪》
1928年、大阪中之島美術館
第2章 Hello! Super Stars
近代・現代美術の代表的な作品を紹介。
アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》のほか、マックス・エルンスト、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリットら、シュルレアリスム(超現実主義)の作品の数々。
ニューヨーク・アートシーンからマーク・ロスコ、フランク・ステラ、ジャン=ミシェル・バスキアなど、館の目玉作品が並ぶ。
いずれも現在では評価額が高騰し、入手が困難な作家の作品であり、美術館の建設よりもまずは充実したコレクションを築く、という大方針のもとに収集して来たという苦労が、開花し結実したといえよう。
今回は、これまでコレクション展をはじめ、国内外の美術館に貸し出し展示されてきた作品を中心に選出。
ようやくコレクションをホームで見ることできる機会に恵まれた。
作品は、世界から集められた展覧会で鑑賞することも大切だが、それ以上に所蔵する美術館というオリジナルポジションで鑑賞することはとても重要だ。
おもな出品作家
アメデオ・モディリアーニ、ジョルジオ・デ・キリコ、マックス・エルンスト、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリット、アルベルト・ジャコメッティ、マーク・ロスコ、フランク・ステラ、ゲルハルト・リヒター、ジャン=ミシェル・バスキア、草間彌生、森村泰昌、やなぎみわ、杉本博司ほか
アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》
1917年、大阪中之島美術館
アルベルト・ジャコメッティ 《鼻》
1947年、大阪中之島美術館
ルネ・マグリット 《レディ・メイドの花束》
1957年、大阪中之島美術館
第3章 Hello! Super Visions
約 200 点のグラフィック作品と家具作品などを一堂に展示。
1859 年製造のミヒャエル・トーネットの椅子からアール・ヌーヴォー、ウィーン・ゼセッション、未来派、デ・ステイル、バウハウス、ロシア構成主義、アール・デコ、北欧デザイン、スイス・デザイン、イタリア・デザイン、オリンピック・ポスター、ポストモダンのデザインまで19世紀後半から1980年代までのデザイン史をたどる。家具やポスター、プロダクトのみならず、総合芸術運動であった前衛的なデザイン運動の流れをたどるべく、館コレクションの絵画や写真もあわせて紹介。
当館がデザイン・コレクションを始めた当初収集したのはウィーン・ゼセッションの作家たちの作品という。
ヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザー等のオリジナル家具コレクションは大変希少。
また館寄託のサントリーポスターコレクションからロートレックやミュシャ、ボナールなどによる魅力あふれるクラシック・ポスター作品を多数展示。
また、北欧デザインのアルヴァ・アアルトの家具、スイス・デザインのヨゼフ・ミュラー=ブロックマンのポスター、イタリア・デザインのジョエ・コロンボの椅子も。
世界に誇るデザイナー・倉俣史朗の家具が6点出品されるのにも注目。
赤いバラを閉じ込めた椅子《ミス・ブランチ》は必見。
おもな出品作家
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、ピエール・ボナール、アルフォンス・ミュシャ、ヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザー、アルヴァ・アアルト、亀倉雄策、田中一光、早川良雄、ウンベルト・ボッチョーニ、グスタフ・クリムト、ジョエ・コロンボ、剣持勇、倉俣史朗、レイモン・サヴィニャック、エル・リシツキー、ラースロー・モホイ=ナジ、A.M.カッサンドルほか
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》
1891年、サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)
倉俣史朗 《ミス・ブランチ》
デザイン1988年、製造1989年、大阪中之島美術館
コロマン・モーザー 《アームチェア》
デザイン1903年、製造1903~04年頃、大阪中之島美術館
ロートレックの母方の従兄弟、ニコル・タピエ・ド・セレイラン(Nicole Tapié de Céleyran)の後継者であるアグネス・タピエ・ド・セレイラン(Agnès Tapié de Céleyran)に⼤阪中之島美術館開館を筆者が知らせ、コメントをお願いしたところ、以下のコメントを書いてくれた。
アグネスとは、筆者がロートレックの城でニコルの紹介で知り合い、ニコルが アグネスのことをよろしく頼むと筆者のような者に丁寧に礼を尽くし頭を下げていた様子が記憶に残っている。
コロナで大変だった中、書いてくれたことに感謝したい。
https://artnews.blog.ss-blog.jp/2016-08-16
“Dear Mrs Ura
I apologize for the delay of my answer but I am very busy in this time.
We are doing some renovation work in our house in South France (Villa
du Defens) with my 3 sons because we started luxury guestrooms last year..
At the same time, I have my mother who is 100 years old : It is
a constant concern, you can imagine.. And my publishing house..
In addition I had the Covid 19 Delta and the Omicron... But now I feel
fine).
I was happy to see in Nakanoshima museum many interesting paintings : Laurencin,
Magritte, Modigliani and our uncle Lautrec's poster of Moulin Rouge. As you know it,
Lautrec was inspired by japanese art. Without the wonderful japanese art masterpieces,
Lautrec probably would not realize his own masterpieces.
Congratulations for this beautiful museum!
I hope to see, one day, the collection in this museum at Osaka. For the moment Japan shut
its borders and I cannot plan a trip in this country I love.
Please, take care of yourself !
Warm regards
Agnès TAPIE DE CELEYRAN”
ロートレックのサントリーコレクションの件は、筆者がニコルとアグネスに伝えた時、大変喜んでくれた。
そして、ロートレック自身が日本が好きで日本人形を所蔵していたこと、ニコルが幼少の頃、ロートレックがニコルに日本のことを話してくれたことを筆者らに語ってくれた。
その日本人形は、ロートレックの城に今もなお、現存する。筆者もこの目で見た。
遠くフランスからロートレックの後継者一家が⼤阪中之島美術館の開館をお祝いしてくれ、激励してくれている。
何とも素敵なことだ。
ジュゼッペ・アルチンボルドの作品《ウエイター》もぜひ、見逃せないポイントだ。
詳しくは以下に記しているのでご覧いただきたい。
https://artnews.blog.ss-blog.jp/2011-06-14
今回の展覧会の構成のカテゴリーには含まれないが、大阪の珠玉の宝だ。
この⼤阪中之島美術館の開館でオリジナルポジションに戻って来た作品だ。
パリや東京などで開かれたアルチンボルド展では出展されていない作品なのでぜひこの機会にコロナに気をつけて大阪にお越しいただきたい。
会期 2022年2⽉2⽇(⽔)– 3⽉21⽇(⽉・祝)
*月曜日休館(3/21を除く)
開催時間 10:00 – 17:00(入場は16:30まで)
会場 ⼤阪中之島美術館 4、5階展⽰室
主催 ⼤阪中之島美術館、NHK⼤阪放送局、NHKエンタープライズ近畿、読売新聞社
協賛 NISSHA
観覧料 日時指定事前予約優先制
一般1500円(1300円)
高大生1100円(900円)
*災害などにより臨時で休館となる場合あり。
*税込み価格。カッコ内は20名以上の団体料金。
*20名以上の団体鑑賞をご希望される場合は事前に団体受付フォームにてお問い合わせのこと。
*予約不要の当日券(数量限定)も会場(当館チケットカウンター・券売機)でご購入可。
*日時指定券の販売はご観覧前日まで。
*中学生以下は無料。
*障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は当日料金の半額(要証明)。予約なしでご入場当日にチケットカウンターにて。
*一般以外の料金でご利用される方は証明できるものを当日ご提示のこと。
*本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要。
*当館のチケットサイトでの購入をご希望の方はこちら(2022年2月より1回限りで日時変更可能)
*e+(イープラス)での購入は日時変更は不可
*コンビニでのご購入はファミリーマート内ファミポートのみ
☆ ホームページ
https://nakka-art.jp/
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今回は何とぞお許し下さいますようお願いいたします。
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