求道の画家 岸田劉生と椿貞雄Artists Seeking for Truth: Kishida Ryusei and Tsubaki Sadao

 

 

求道の画家

岸田劉生と椿貞雄

 

Artists Seeking for Truth:

Kishida Ryusei and Tsubaki Sadao

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 岸田劉生《童女図(麗子立像)》1923年 神奈川県立近代美術館

 

以下の画像はフォトギャラリーにて参照されたし。

 

椿貞雄《菊子座像》1922年 平塚市美術館

 

 

 

久留米市美術館において、大正期の美術界にユニークな位置を占めた美術団体「草土社(そうどしゃ)」で深い交流のあった二人の画家、岸田劉生(きしだりゅうせい)18911929)と椿貞雄(つばきさだお)18961957)の展覧会が開催中だ。

 

さて、この展覧会は、岸田劉生と椿貞雄二人の代表作を含む油彩画、日本画、書簡などを展示することで、師弟であり、共に写実の美を追求した同志であり、生涯の友でもあった二人の強い絆と、それぞれの個性の足跡をたどるもの。

 

宮城県美術館を巡回した展覧会で、東京出身の劉生と東北ゆかりの椿の二人展は、九州では初の開催だ。

 

劉生については以下などで記しているので参照されたし。

 

☆生誕120周年記念  岸田劉生展

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-11-10

 

☆芝川照吉コレクション展~青木繁・岸田劉生らを支えたコレクター

 

    http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-06-23

 

 

 

岸田劉生《椿君に贈る自画像》1914年 東京都現代美術館

 

椿貞雄《自画像》1915年 千葉県立美術館

 

 

 

若き劉生は、文芸誌『白樺』を通してゴッホやセザンヌなど後期印象派から影響を受け、さらにデューラーなど北方ルネサンス絵画に傾倒していた頃、その劉生の作品を東京で偶然目にした椿は、強い感銘を受け入門を決意。

 

劉生23 歳、椿18 歳の時だ。

 

翌年、劉生が結成した「草土社」において、二人は白樺派のヒューマニズムを背景とした、草や土までも細密に描写する求道者的な写実表現に邁進して行く。

 

この時期の二人の作品には、身近な風景や人物といったモティーフにも共通するものが多く見られる。

 

しかし、一方、色遣いや筆さばきなどには、二人の画家としての感性の違いが表れている。

 

椿貞雄《赤土の山》1915年 米沢市上杉博物館

 

岸田劉生《古屋君の肖像(草持てる男の肖像)1916年 東京国立近代美術館

 

 

 

やがて、劉生は、転地療養のため鵠沼(現:神奈川県藤沢市)に移り住んだ頃から、中国の宋元画に興味を引かれはじめ、さらに京都へ転居後は、浮世絵や南画にも関心を広げる。

 

椿もまた、劉生の影響を受けて日本画に取り組む。

 

だが、劉生の古画に倣った観念的な作風に対し、椿が描く日本画には家族がたびたび登場するなど、より親しみやすい雰囲気だ。

 

二人の日本画は、紙と墨という材質でなければ出ない深い味わいを醸し出し、東洋の美の魅力に迫ろうとした、それぞれの研究の成果と言えよう。

 

洋画家としてのイメージが大きい二人だが、日本画にも挑戦し、和洋の枠を超えた「絵画」という芸術に取り組んでいたことがよくわかる展覧会である。

 

岸田劉生《画人無為》1926年 笠間日動美術館

 

椿貞雄《画家の家》1935年 米沢市上杉博物館

 

 

 

1929(昭和4)年の暮れに劉生が38 歳で急逝。

 

椿は大きな喪失感を抱えるが、約7ヶ月の渡欧体験を機に、「いよいよ古衣をかなぐりすてる時が来た気がする。」と、自らの画家としての再出発を決意。

 

その後、椿の絵画は、愛する妻や娘を描いた作品に着手。

 

椿貞雄《髪すき図》1931年 東京国立近代美術館

 

椿貞雄《壺(白磁大壺に椿)》1947年 米沢市上杉博物館

 

 

 

戦後は孫と長崎風景が主要なテーマとなって行く。

 

鮮やかな色彩と力強いタッチで描かれた長崎風景からは、雪国出身の椿が、九州の陽光と明るい色彩に魅了された実感が伝わって来るようだ。

 

椿貞雄《祖母と孫》1955年 米沢市上杉博物館

 

 

 

椿貞雄《大浦天主堂》1957年 米沢市上杉博物館

 

 

 

会期は617 日(日)まで。

 

九州にお住まいの方はもちろん、劉生や椿の出身地に住む方などこの機会に「そうだ、久留米に行こう!」と旅行を思い立って訪れていただきたい。

 

九州で鑑賞する作品群は、また違った印象を与えるにちがいない。

 

久留米の地で岸田劉生と椿貞雄の二人の展覧会が開催されることは美術史上、後世に大きな名を残すことになろう。

 

久留米市美術館は、ブリヂストンの創業者石橋正二郎が出身地である久留米市に寄贈した美術館、

 

石橋美術館が前身。

 

1956年の開館から20169月末までは「石橋美術館」の名前で運営されており、改装を経て201611月から久留米市立の「久留米市美術館」の名前で、同じ場所に新規開館している。

 

石橋美術館としての最後の特別展、「特別展 石橋美術館物語1956久留米からはじまる。」について筆者は以下で記しているので参照されたし。

 

☆特別展 石橋美術館物語1956久留米からはじまる

 

     https://art-news-jp.jimdo.com/2016/08/14/特別展-石橋美術館物語-1956久留米からはじまる-the-story-of-the-ishibashi-museum-of-art-starting-from-kurume-in-1956/

 

     http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-08-14

 

会期

 

2018 47 日(土)~617 日(日)

 

会場

 

久留米市美術館 本館2

 

入館料

 

個人       団体

 

一般

 

1,000円     800

 

シニア

 

700円      500

 

大学生

 

500円       300

 

高校生以下

 

無料 無料

 

*団体料金は15名以上。

 

*障がい者の方は手帳をご提示で、ご本人と介護者1名が一般料金の半額。

 

休館日

 

月曜日

 

開館時間

 

10:00−17:00(入館は16:30 まで)

 

主催

 

久留米市美術館、毎日新聞社、RKB毎日放送

 

後援

 

久留米市教育委員会

 

企画協力

 

公益財団法人 日動美術財団、米沢市上杉博物館

 

☆久留米市美術館ホームページ

 

http://www.ishibashi-bunka.jp/kcam/

 

 

 

☆関連イベント

 

【ギャラリートーク】

 

・日時:毎週土曜日(6/2 をのぞく)、日曜日の14 時~1420

 

・集合場所:本館2 階エントランス

 

・参加費:無料(要本展チケット)

 

【美術講座】

 

「劉生から見た椿貞雄」

 

・日時:62 日(土)14 時〜1530

 

・講師:久留米市美術館 森山秀子副館長

 

いずれも会場は本館1 階多目的ルーム、 先着70 名(聴講無料)

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

   1020名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :  loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

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        締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

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