追加記事 織田信長公 岐阜入城・岐阜命名450年記念事業 特別展 レオナルド×ミケランジェロ展Leonardo da Vinci e Michelangelo

 

追加記事 

織田信長公    岐阜入城・岐阜命名450年記念事業 

 

特別展  

レオナルド×ミケランジェロ展Leonardo da Vinci e Michelangelo

 

 

 

レオナルドvsミケランジェロ、「宿命のライバル」が素描で対決!

 

天才はどちらだ!?

 

 

ミケランジェロ・ブオナローティ(帰属)

 

   十字架を持つキリスト像(ジュスティニアーニのキリスト)

 

   制作年 1514-16年頃   所蔵先 サン・ヴィンチェンツォ修道院聖堂

 

      ©Associazione Culturale Metamorfosi

 

  15世紀イタリアで画家として才能を発揮し、建築、化学、解剖学の分野にまで関心を広げ「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチ(Leonardo da Vinci)(1452-1519年)。

 

10代から頭角を現し「神のごとき」と称された世紀の天才彫刻家ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo  di Lodovico Buonarroti Simoni(1475-1564)

 

 この永遠のライバルとも評される両者の芸術を対比する日本初の展覧会が、岐阜市歴史博物館で好評開催中だ。

 

 1015日には、来場1万人を達成し、記念式典が行われた。その後、ぐんぐん来場者は増え続け、1113日には、来場者が3万人を突破した。

 

素描画作品(ディゼーニョ)は、ルネサンス期の芸術家がとりわけ重視し、また、芸術家の力量を示すうえで最も重要とされる。

 

また、それは全ての創造の源でもある。

 

この展覧会では、巨匠の手の動きや対象を見つめるまなざしを直接感じることのできる自筆素描画作品を中心に構成されているが、レオナルド・ダ・ヴィンチ作「少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作」と、ミケランジェロ作「〈レダと白鳥〉のための頭部習作」を間近で見比べをすることができる貴重なものだ。

 

これらは、イタリアが生んだ2人の天才の「最も美しい」とされる素描だ。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの最も美しい素描、「少女の頭部」や、ミケランジェロが手掛けた日本初公開の等身大のキリスト像、「十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)」をはじめ、フィレンツェ カーサ・ブオナローティやトリノ王立図書館所蔵品を中心に素描画、油彩画、大理石像、書簡など約65点(うち日本初公開作品を含む。)が一堂に会す展覧会だ。

 

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロ・ブオナローティについては、筆者は以下などで記しているので参照されたし。

 

〇システィーナ礼拝堂500年祭記念  ミケランジェロ展―天才の軌跡 

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-05

 

〇「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-12-17

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01   

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-30

 

 

 

〇【特別展】ミラノ アンブロジアーナ図書館・絵画館所蔵 レオナルド・ダ・ヴィンチ展-天才の肖像

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-06-22

 

〇レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展 ~日本初公開「タヴォラ・ドーリア」の謎~ Leonardo da Vinci and The Battle of Anghiari  -The Mystery of Tavola Doria-

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-31

 

〇ダ・ヴィンチ!天才の遺産 レオナルドと歩む未来展

 

   http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02

 

 

 

 

     ☆カーサ・ブオナローティ(Casa Buonarroti  museo  fondazione  Casa Buonarroti

 

     http://www.casabuonarroti.it/it/

 

 

    ☆トリノ王立図書館(Biblioteca Reale di Torino

 

     www.bibliotecareale.beniculturali.it/

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは、左利きと知られる。左上から右下へのハッチングが特徴的だ。

 

左利きならではのやや右下がりの線に注目されたし。

 

また、最小限の線を用いて描いており、迷いがなく大胆。

 

一方、ミケランジェロは、右利きでクロスハッチングと呼ばれる、斜線を交差させて立体感をうまく演出している。

 

「〈レダと白鳥〉のための頭部習作」では赤チョークが用いられ、濃淡によって凹凸を巧みに表現し、あたかも「削り取るように」素描を描いている。

 

この展覧会に展示されている「《イサクの犠牲》のための習作」では、ひざの位置を試行錯誤した跡が残っている。

 

この展覧会鑑賞の密かな楽しみは、巨匠の創造の過程を注意深く見ると知ることができる点だ。

 

 

 

 さて、この展覧会の図録には、大変興味深い記載がされている。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最も美しい」とされる素描「少女の頭部」は、ポーランドのクラクフのチャルトリスキ美術館所蔵の絵画、『白貂を抱く貴婦人』に重なるという。

 

 筆者は、『白貂を抱く貴婦人』については以下で記しているので参照されたし。

 

〇ベルリン国立美術館展  学べるヨーロッパ美術の400

 

http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-09-07

 

『白貂を抱く貴婦人』をベルリン国立美術館での特別展、“Renaissance Faces”で拝見し、さらにその所蔵元 チャルトリスキ美術館のあるクラクフに赴いた。

 

オリジナルポジションで鑑賞したいと思ったからだ。作品を特別展で鑑賞することも重要だが、所蔵元で見るとまた違った見え方がするものだ。

 

しかし、チャルトリスキ美術館は工事中のため、ヴァヴェル城において『白貂を抱く貴婦人』を鑑賞した。

 

どちらも照明は必要最小限に施され、作品保護に細心の注意が払われていた。

 

そんな思い入れがある作品だけにこの展覧会に「少女の頭部」が展示されているのはうれしい。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ の弟子 サライ( Salaì、「小悪魔」の意)は遺産として『モナ・リザ』など複数の絵画作品も同時に相続したと考えられている。サライが相続したこれらの絵画作品の多くは、後にフランス王フランソワ1世の所有となった。

 

その際、フランソワ1世はサライに莫大な金を支払ったという。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは、フランソワ1世によりアンボワーズ城に招かれ、近くのクロ・リュッセで生活していた。

 

筆者は、ロワール渓谷のトゥールに約2週間滞在し、じっくり城をめぐり取材したことがある。

 

筆者が小学校の時に自由研究発表の授業でレオナルド・ダ・ヴィンチについて発表してから、敬愛して来たため、単なる観光ではなくゆっくり勉強したかったからということと墓参りをしたいと思ったからだ。

 

アンボワーズ城とクロ・リュッセは地下道でつながっている。ダ・ヴィンチが埋葬されたサン・ユベール教会堂はアンボワーズ城に隣接している。

 

筆者は、レオナルド・ダ・ヴィンチがフランソワ1世に厚遇を受けたから、フランスに『モナ・リザ』があるのだと思っていた。

 

一般的に遺産や作品の譲渡の経緯はあまり記されないことが多いので、もやもやしていた疑問が、この展覧会で払拭された。

 

 

 

イタリアのフィレンツェのシニョリーア宮殿(Palazzo della Signoria)は、現在パラッツォ・ヴェッキオ( Palazzo Vecchio)と呼ばれている。

 

この宮殿を舞台にレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロが戦闘画において競演したという。

 

大評議会広間(現在の「五百人広間」)を飾るため、行政長官ピエロ・ソデリーニによって16世紀初頭にレオナルド・ダ・ヴィンチに発注された。

 

「アンギアーリの戦い」だ。

 

翌年、ミケランジェロには、反対側の壁を「カッシナの戦い」が発注された。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチ、52歳。

 

ミケランジェロ、29歳。

 

これらは、イタリア・ルネサンス美術の歴史の中でも、最も野心的な装飾計画といわれる。

 

同じプロジェクトを同時期に両者が手がけたのは、これっきりだ。

 

両者とも下絵は描いた。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは、『最後の晩餐』の苦い経験から、テンペラやフレスコではなく、実験的な手法を油絵で壁画に挑戦した。

 

しかし、表面の絵の具が流れ落ち出したため、急いで乾かしたが絵画の上部は色が混じり合ってしまい、レオナルド・ダ・ヴィンチはこの壁画を諦めざるを得なかった。

 

一方、ミケランジェロも、下描きが終わった段階で、教皇の墓を手がけるためにユリウス2世によりローマへ呼び戻され、「カッシナの戦い」は未完に終わった。

 

この展覧会で展示されているミケランジェロの「背を向けた男性裸体像」は、「カッシナの戦い」のために描かれた習作だ。

 

伸び上がるような姿勢の男性の背面には、筋肉のつき方が事細かに把握されており、ミケランジェロの彫刻家ならではの捉え方が現れている。

 

こうして、両者の競演は幻と化してしまう。

 

20075月、イタリア文化庁は、レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の壁画「アンギアーリの戦い」が500人大広間にあるヴァザーリの壁画の裏側に隠されていると発表した。

 

部分的に描かれたレオナルドの壁画はその後、半世紀以上のあいだは、人々に見られていたという記録が残っている。

 

しかし、その壁画は、最終的に1560年代にイタリアのマニエリスム期の画家で建築家のジョルジョ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari)(1511-1574年)の新たな壁画装飾によって覆われてしまった。

 

ジョルジョ・ヴァザーリは、レオナルドを大変尊敬していた。

 

尊敬していたからこそ、壁画を無きものとはせず、壁画を残したまま上から覆うように壁を作ったと筆者は考えている。

 

この展覧会では、ジョルジョ・ヴァザーリ作の「戦う戦士たち」が出展されている。

 

ジョルジョ・ヴァザーリは、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」を参照して制作したとされている。

 

この作品によって、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」を類推することができるのだ。

 

近年、これはジョルジョ・ヴァザーリの愛弟子ジョヴァンニ・ バッテイスタ・ナルディーニが描いたという説もある。

 

なお、ジョルジョ・ヴァザーリは、ミケランジェロを中心にルネサンス期の芸術家の評伝を書いている。

 

『画家・彫刻家・建築家列伝』は1550年に出版され、チマブーエからミケランジェロまで芸術家133人の作品と生涯を記し、さらに1568年の第二版では30人を追加して記している。

 

これは、後世、美術史の基本資料になり、ジョルジョ・ヴァザーリが、芸術家としてだけでなく、美術史家としても文才にも長けていたことは、ジョルジョ・ヴァザーリの名誉のためにも申しておきたいものだ。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの絵を真似した、作品を覆ってしまったという評価ではあまりにも理不尽だ。

 

むしろ、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画を取り除かず、覆うことで、21世紀の今日までその作品を保存できたのは、ジョルジョ・ヴァザーリの功績と考えたい。

 

 

 

日本初公開の「十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)」は、数奇な運命をたどった作品だ。

 

ローマの貴族、メテッロ・ヴァーリの依頼により制作されたが、顔の部分に黒い疵が現れたために制作途中で放棄されてしまった。

 

未完成のままの《キリスト像》は、注文主であるヴァーリが貰い受け、邸宅の中庭に設置されていたという。

 

その後、子孫によって売却され、長く行方不明であった。

 

2000年になって、ローマ郊外の小都市バッサーノ・ロマーノにある修道院に納められているこのキリスト像が、ミケランジェロによって手がけられたことが明らかとなった。

 

14世紀の初めにはこの作品と思われる彫像がローマで売りに出されていたことを伝える記録があり、このころまでに、ミケランジェロ以外の彫刻家の手で仕上げられていたようだ。

 

像を所蔵する修道院の院長によると、宗教改革や第二次世界大戦の危機を免れたという。

 

 

 

レオナルド・ダ・ヴィンチもミケランジェロも甲乙つけがたい大天才だ。

 

それぞれで展覧会を企画できるため、また、競演させることが不遜だというくらいもったいない作家だ。

 

16世紀初頭には、幻に終わった競演。

 

それが、世紀の競演というべき21世紀の今、この展覧会において対決が実現した。

 

何という贅沢な企画であろうか。

 

三菱一号館美術館で開催され、好評を得たこの展覧会は、岐阜市歴史博物館と2館のみで開催。

 

筆者の住む関西にはまったく来ない。

 

織田信長公  岐阜入城・岐阜命名450年の記念の年だからこそできた特別展だ。

 

実は、岐阜は岐阜県美術館がシャガールの版画シリーズ「サーカス」、熊谷守一の作品、ギュスターヴ・モロー 「聖セバスティアヌスと天使」を所蔵していたりと美術、文化に明るいお土地柄。

 

このような展覧会が岐阜で開催されることを誇りに思っていただきたい。

 

他県の人から言われないとわからないこともある。

 

在住のかたもそうでないかたも岐阜のよさをわかっていただきたい。

 

関西の筆者は、ちょっぴりジェラシーを感じてしまうほどの展覧会なのだ。

 

筆者の今までの記事をご覧になった読者からこの展覧会のことを楽しみにしている、また、もう行って来たとのメッセージを多数受け取っている。

 

関西方面からも多くのかたが訪れているという。

 

そして、岐阜だけでなく他の地方からも訪れていただきたい展覧会だ。

 

閉幕まであとわずか。お見逃しなく。

 

 

 

☆構成

 

   序 章 レオナルドとミケランジェロ

 

第1章 顔貌

 

第2章 彫刻と絵画のパラゴーネ

 

第3章 人体表現

 

第4章 馬と建築

 

第5章 手稿

 

第6章 書簡と詩歌

 

終 章

 

 

 

会期        2017年(平成29年)105()1123(木・祝)

 

開館時間     10月7日(土)以降 午前9時~午後7時(入館は午後6時30分まで)

 

休館日        会期中無休            

 

会場        岐阜市歴史博物館    1階特別展示室      

 

       〒500-8003 岐阜市大宮町2-18-1(岐阜公園内) 

 

TEL.058-265-0010(休館日を除く)

 

FAX.058-265-0106

 

主催          岐阜市レオナルド×ミケランジェロ展実行委員会、岐阜市、岐阜市教育委員会

 

岐阜新聞社・岐阜放送、日本経済新聞社

 

後援          駐日イタリア大使館

 

協賛          十六銀行 JAぎふ

 

助成      公益財団法人 田口福寿会

 

協力      アリタリア-イタリア航空、名古屋鉄道株式会社

 

観覧料

 

 高校生以上 1500円(20人以上の団体1300円)

 

 小中学生  750円(20人以上の団体650円)

 

 ※以下の方は無料。①②の方は証明できるものをご提示のこと。

 

①岐阜市在住の70歳以上の方

 

②身体障がい者手帳・精神障害がい者保健福祉手帳・療育手帳をお持ちの方とその介護者1人

 

③岐阜市内の小中学生

 

☆岐阜市歴史博物館ホームページ

 

      http://www.rekihaku.gifu.gifu.jp/

 

☆特設ウェブサイト 

 

      http://www.gifu-np.co.jp/leomiche/

 

 

 

☆ナイト・ツアーの開催

 

11月22日(水)まで, 平日(月~金)午後6時開始 ※祝日は除く

 

 混雑のため日中では開催が難しかった展示室内での解説を、担当の学芸員が約30分かけて実施。

 

静謐な夜に鑑賞するレオナルド・ダ・ヴィンチは、昼間とは違った印象をもたらしてくれるでしょう。

 

特にスポットライトに浮かび上がる「十字架を持つキリスト像」の神々しさは圧巻です。

 

  ナイト・ツアー参加の方には、記念に博物館オリジナル展覧会グッズをプレゼント。

 

  特別展観覧者は自由に参加可。

 

※オリジナル展覧会グッズは数に限りあり。

 

 

 

☆ギャラリートーク「レオナルドとミケランジェロのデッサンを読む」

 

 11月1日(水)~23(木・祝)日まで、毎週水曜日 午後4時~

 

 日本画家でもある山本真一 加藤栄三・東一記念美術館学芸員が、画家の視点から両者のデッサンを読み解く。

 

500年の時を経て、巨匠の息吹が鮮やかによみがえります。一味違った解説をご希望の方におすすめ!

 

 参加方法:特別展観覧者は自由に参加可。

 

 ※関連行事は変更または中止となる場合あり。

 

 

 

☆読者プレゼント 

 

   1020名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

   本文:ご住所、お名前

 

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

   送達対応いたします。

 

   発送をもって当選と代えさせていただきます。

 

  

 

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☆お知らせ

 

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