知られざるスイスの画家
オットー・ネーベル
Otto Nebel and His Contemporaries
― Chagall, Kandinsky, Klee
オットー・ネーベル 《ムサルターヤの町 Ⅳ 景観 B》1937 年、
グアッシュ・紙、ベルン美術館
スイス、ドイツで活動した画家オットー・ネーベル(Otto Nebel 1892-1973)。
ベルンのオットー・ネーベル財団の全面的な協力を得た、日本初の回顧展がBunkamura ザ・ミュージアムにおいて開催中である。
オットー・ネーベルは、ベルリンに生まれ育った。
そして1920年代半ばにワイマールに滞在し、バウハウスでワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)やパウル・クレー(Paul Klee)に出会い、大いに刺激を与え合い、その友情は長きにわたった。
そのほか20世紀の芸術に多大な影響を及ぼした多くのアーティストたちとも交友を結んだ。
この展覧会では、建築、演劇、音楽、抽象、近東など オットー・ネーベルが手がけた主要なテーマに沿って構成されている。
オットー・ネーベル 《聖母の月とともに》1931 年、グアッシュ・紙、ベルン美術館
それだけではなく、カンディンスキー、クレー、マルク・シャガール(Marc Chagall)など同時代の画家たちの作品も併せて紹介し、オットー・ネーベルが様々な画風を実験的に取り入れながら独自の様式を確立していく過程を浮き彫りにする展覧会だ。
バウハウスなど参考になる展覧会の記事を筆者は以下などで記しているので参照されたし。
☆パウル・クレー展 ―おわらないアトリエ
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09-1
☆「色彩革命!-モダン・アートはここから始まった。レンバッハハウス美術館所蔵 カンディンスキーと青騎士」展
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-06-20
☆『中之島コレクションズ 大阪市立近代美術館&国立国際美術館』
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22
☆すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13-2
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-08-28-2
☆ストラスブール美術館展 ゴーギャン、ピカソからローランサンまで
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-05-16
☆ブリヂストン美術館開館60周年記念 オルセー美術館、オランジュリー美術館共同企画 「ドビュッシー、音楽と美術 ― 印象派と象徴派のあいだで」
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-10-01
☆視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-08-18
☆アール・デコ 光のエレガンス Elegant Illumination: Art Deco Lights
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-09-23
オットー・ネーベル 《輝く黄色の出来事》1937 年、油彩・キャンヴァス、オットー・ネーベル財団
さて、2019年は、バウハウス開校100周年を迎える。
ベルリンのバウハウス アーカイブ美術館(Bauhaus-Archiv)は、筆者が取材に訪れて以来、長きにわたってプレスリリースと招待状を毎回律儀に送って来てくれている。
奇しくも“New Bauhaus Chicago: Experiment Photography and Film”が11月14日から始まる。
今回は残念ながら、筆者は伺うことはできないが、日本語の音声ガイドを用意してくれていることからも日本人に対する配慮がありがたいので、ベルリンに行くならぜひ訪れることをお勧めする。
☆バウハウス アーカイブ美術館(Bauhaus-Archiv)
若きオットー・ネーベルがいかにバウハウスに影響されたか、そして素材やマチエールを追求し続けた、オットー・ネーベルの知られざる画業を振り返るまたとない展覧会だ。
この展覧会に展示されている『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』は、オットー・ネーベルがイタリアを訪れた際に制作したもので、各都市での色と形の探求の成果を美しくまとめたスケッチブックだ。
風景の中のモチーフを四角い色面に置き換え、イタリアのそれぞれの都市の景観を描いた。
オットー・ネーベル 《ナポリ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、1931 年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団
オットー・ネーベルは、日記に以下の文章を残している。
「ある国の光の世界をこうして調べ、記すことは、他のどんな方法よりもずっと意味深く、創造的・未来的であるということはすでに明らかだ。」
オットー・ネーベル 《ポンペイ》『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』より、1931 年、インク、グアッシュ・紙、オットー・ネーベル財団
また、ドイツなどから移住してきた芸術家たちが集まったスイスのアスコーナで描かれた《アスコーナ・ロンコ》。
色彩豊かなこの作品には、マルク・シャガールからの影響が感じられる。
オットー・ネーベルは、「子供の魂から生み出された」と語っている。
オットー・ネーベル 《アスコーナ・ロンコ》1927 年、水彩、グアッシュ・紙、厚紙に貼付、ベルン美術館
「都市の建築シリーズ」は、バウハウスにおいて建築を学んだネーベルならではの個性豊かな作品群だ。
都市の建築物の構成の輪郭を単純化された立方体や結晶体の形にあてはめ、色彩のコントラストを際立たせている。
オットー・ネーベル 《地中海から(南国)》1935 年、水彩・紙、厚紙に貼付、オットー・ネーベル財団
また、オットー・ネーベルは自らの挑戦を、オーケストラの指揮者になぞらえ、作品のタイトルに音楽用語を使用し、音楽を感じさせる絵画を制作。
オットー・ネーベル 《コン・テネレッツァ(優しく)》1939 年、テンペラ・紙、オットー・ネーベル財団
オットー・ネーベル 《ドッピオ・モヴィメント(二倍の速さで)》1936 年、ラッカー塗料・紙、オットー・ネーベル財団
カンディンスキーの尽力により、1936年~51年までの長期にわたり、ニューヨークのグッケンハイム財団がオットー・ネーベルの作品を購入し、その芸術活動を支援した。
このことからも世界的に著名な美術館・財団がこの時期にもうすでに評価していたことがわかる。
近年、オットー・ネーベルの評価が高まって来ている。
お見逃しなく!
オットー・ネーベル 《避難民》1935 年、グアッシュ、インク・紙、オットー・ネーベル財団
ネーベルの肖像写真 1937 年 (オットー・ネーベル財団提供)
☆前期【10/7(土)〜11/13(月)のみ展示】
マルク・シャガール 《教会の前の山羊》1924年 グアッシュ・紙 ポーラ美術館
パウル・クレー 《腰かける子ども》1933年 水彩・紙、厚紙に貼付 宇都宮美術館
ワシリー・カンディンスキー《冷たいかたちのある即興》のための習作1914年頃 水彩、グアッシュ、鉛筆・紙 静岡県立美術館
☆後期【11/15(水)〜12/17(日)のみ展示】
マルク・シャガール 《馬》1927年 グアッシュ・紙、厚紙に貼付 ポーラ美術館
パウル・クレー 《ホールC .エントランスR2》1920年 油彩、ペン・紙、厚紙に貼付 静岡県立美術館
開催期間
2017/10/7(土)-12/17(日)
*11/14(火)のみ休館
開館時間
10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場
Bunkamura ザ・ミュージアム
主催
Bunkamura、テレビ朝日
後援
スイス大使館、ドイツ連邦共和国大使館
協力
スイス政府観光局、スイス インターナショナル エアラインズ、USMモジュラーファニチャー、ヤマトロジスティクス株式会社
企画協力
オットー・ネーベル財団
In cooperation with Otto Nebel Foundation, Bern
お問合せ
ハローダイヤル 03-5777-8600
入館料(消費税込)
当日 団体
一 般 1,500円 1,300円
大学・高校生 1,000円 800円
中学・小学生 700円 500円
◎団体は20名様以上。要 電話でのご予約。
(申込み先:Bunkamura Tel. 03-3477-9413)
◎学生券をお求めの場合は、学生証のご提示のこと。
◎障害者手帳のご提示で割引料金あり。詳細は窓口で。
☆展覧会公式ホームページ
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/
☆Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/
☆読者プレゼント
5組10名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
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☆巡回予定
2018年4月28日(土)~6月24日(日) 京都文化博物館