開館25周年記念長沢芦雪展 京(みやこ)のエンターテイナー

 

開館25周年記念

 

長沢芦雪展

 

(みやこ)のエンターテイナー

 

 

 

 

 

京で圧倒的な人気を誇った円山応挙。

 

その弟子は、千人を超えたという。

 

弟子の長沢芦雪(ながさわ ろせつ)は若くして師の画法を完璧に身につけたばかりでなく、応挙の実験・開拓精神をも自分のものとして独創性を発揮し、師の型を打ち破った唯一の存在だ。

 

応挙門下のずば抜けた奇才、長沢芦雪。

 

その画業を紹介する展覧会が愛知県美術館において好評開催中だ。

 

長沢芦雪の代表作が一望できる大変貴重な展覧会で、愛知県美術館開館25周年記念展にふさわしい。

 

実は長沢芦雪の大規模な展覧会は、2000年に千葉市美術館と和歌山県立博物館で、2011年に滋賀県のMIHO MUSEUMで開催されたが、不思議なことに東京や京都・大阪などでは未だない。

 

愛知県美術館は、他館に比べもともと全国的にも広い企画展示室だ。

 

それにコレクション展用の一室を加えた広い空間において、この展覧会では芦雪の代表作をたっぷりと鑑賞できるのだ。

 

長沢芦雪の作品で最も有名な《虎図襖》。

 

これは、和歌山県串本町の無量寺で、《龍図襖》と向かい合わせに描かれたもの。

 

襖6面のうち4面分がある「室中の間」から仏間の本尊仏像を拝するとき、薄暗い仏間から龍虎が出てきて拝む人を囲むように配置されている。

 

現在、本堂の襖には高精細印刷の複製画がはめられ、実物は収蔵庫でほぼ同じ配置で鑑賞できるが、展覧会でこのように配置される機会は今までなかった。

 

この展覧会では、畳や柱など無量寺のしつらえまでも展示室に再現して、本物の龍虎図を鑑賞できる。

 

さらに、「室中の間」を挟む二部屋の襖絵も再現展示。

 

長沢芦雪は、部屋の角に岩を描いて空間を立体的に表現している。

 

虎図の顔の裏側には猫も。

 

奇抜な構図や大胆な筆づかいが目に付く長沢芦雪。

 

しかし、主題に応じて描法を大きく変えているのも長沢芦雪ならではの特徴だ。

 

子供たちや子犬、雀や蛙、そして蟻やなめくじに至るまで、小さな生きものも、ある時は可愛らしく、ある時は繊細に描いている。

 

長沢芦雪が円山応挙に入門する前の「于緝(うしゅう)」という雅号で描かれた10代半ばから20代半ばの最初期作品は、これまで2点が研究者の間で知られていただけであった。

 

近年さらに2点が発見された。

 

この展覧会ではこれら4点全てが初公開されている。

 

(うち1点は10/24()から115()のみの展示予定)。

 

1950年代に日本人が忘れかけていた伊藤若冲を“発見”して江戸絵画の大コレクター、プライスコレクションのジョー・プライス。

 

一番好きな絵師は伊藤若冲と思いきや、ジョー・プライスは長沢芦雪が一番という。

 

また、ジョー・プライスは無量寺の《虎図襖》のことは「世界一の絵」と呼び、「この絵を手に入れられることなら、きっと私は自分のコレクションをなげうつことでしょう。(笑)」と語ったという。

 

この展覧会ではプライスコレクションから、若冲の《鳥獣花木図屏風》に次いでよく知られた芦雪の傑作《白象黒牛図屏風》が展示されている。

 

世界的にもその量、質、共にプライスコレクションの評価は高く、その審査眼には一目も二目も置かれている。

 

そのジョー・プライスが一番好きだと言い切る長沢芦雪。

 

長沢芦雪を知らない人も彼の目利きに乗ってみてはいかがであろうか。

 

☆構成

 

   1.   氷中の魚:応挙門下に龍の片鱗を現す

 

2.  大海を得た魚:南紀で筆を揮う

 

3.  芦雪の気質と奇質

 

     4.  寛政前・中期:充実と円熟

 

   5.  寛政後期:画境の深化

 

    

 

長沢芦雪の作品は、大変デリケート。

 

会期は特に短いが、作品保存のためだ。

 

それでも、この展覧会では長期間展示できないところをぎりぎりまでがんばって展示していると感じられる。

 

愛知県美術館のみの展覧会で、巡回はしない。いや、できないといった方が正確だろう。

 

そんな貴重な展覧会。

 

この機会にぜひ名古屋に赴き、稀代の天才絵師の作品をを鑑賞していただきたい。

 

お見逃しなく。

 

 

 

会期

 

2017106()1119()※期間中、一部作品の展示替えあり。

 

会場

 

愛知県美術館 [愛知芸術文化センター10]

 

開館時間

 

10001800 金曜日は2000まで

 

(入館は閉館30分前まで)

 

休館日

 

毎週月曜日

 

チケット料金

 

一般 1,400円(1,000円)

 

高校・大学生      1,100 円(700円)

 

中学生以下無料

 

※( )内は20名以上の団体料金。

 

  ※上記料金で、同時開催のコレクション展およびAPMoA Project, ARCHも鑑賞可。

 

  ※「身体障がい者手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかをお持ちの方、また、その手帳に「第1種」または「1級」と記載のある方に付き添われる方は1名まで当日料金が半額。

 

【主催】

 

愛知県美術館、中日新聞社、日本経済新聞社、テレビ愛知

 

  【協賛】

 

    損保ジャパン日本興亜、トヨタ自動車、野崎印刷紙業

 

【協力】

 

日本航空、JR東海、近畿日本鉄道

 

 

 

☆愛知県美術館ホームページ

 

http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

 

☆特設ウェブサイト 

 

      http://www.chunichi.co.jp/event/rosetsu/

 

☆読者プレゼント 

 

   510名様にご招待券 プレゼント

 

   あて先 :loewy@jg8.so-net.ne.jp

 

   件名:展覧会名と会場名

 

   本文:ご住所、お名前

 

   をお書きの上どしどしご応募下さい。

 

       締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時

 

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