アルチンボルド展
[Special Exhibition]
Arcimboldo: Nature into Art
ジュゼッペ・アルチンボルド《春》 1563 年 油彩/板 マドリード、王立サン・フェルナンド美術アカデミー美術館蔵
© Museo de la Real Academia de Bellas Artes de San Fernando. Madrid
以下の画像はアルチンボルド展フォトギャラリーにて参照されたし。
ジュゼッペ・アルチンボルド《夏》 1572 年 油彩/カンヴァス デンヴァー美術館蔵
©Denver Art Museum Collection: Funds from Helen Dill bequest, 1961.56 Photo courtesy of the Denver Art Museum
ジュゼッペ・アルチンボルド《秋》 1572 年 油彩/カンヴァス デンヴァー美術館蔵
©Denver Art Museum Collection: Gift of John Hardy Jones, 2009.729 Photo courtesy of the Denver Art Museum
ジュゼッペ･アルチンボルド《冬》 1563 年 油彩/板 ウィーン美術史美術館蔵
© KHM-Museumsverband
果物や野菜、魚や書物といったモティーフを思いがけないかたちで組み合わせた、寓意的な肖像画で有名なジュゼッペ・アルチンボルド（Giuseppe Arcimboldo）（1526-1593年）。
国立西洋美術館において、アルチンボルドのイメージ世界の生成の秘密に迫り、同時代の文脈の中に彼の芸術を位置づけ直す試みの展覧会が開催中だ。
アルチンボルドは、イタリア・ミラノ生まれの画家で16世紀後半にウィーンとプラハのハプスブルク家の宮廷で活躍した。
自然科学に深い関心を示したマクシミリアン２世、稀代の芸術愛好家として知られるルドルフ2世という神聖ローマ皇帝たちに寵愛され、宮廷画家としてばかりでなく、宮廷の演出家としてさまざまな分野でその才能を発揮したのだ。
アルチンボルドについて2011年に以下で記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-06-14
ジュゼッペ・アルチンボルド《ソムリエ（ウェイター）》 1574 年 油彩/カンヴァス 大阪新美術館建設準備室蔵
ジュゼッペ・アルチンボルド《コック/肉》 油彩/板 ストックホルム国立美術館蔵
©Photo: Bodil Karlsson/Nationalmuseum
ジュゼッペ・アルチンボルド《法律家》 1566 年 油彩/カンヴァス ストックホルム国立美術館蔵
©Photo: Hans Thorwid/Nationalmuseum
筆者は2010年、プラハに取材に出かけた際、今回の展覧会で展示されているアルチンボルドの自画像ドローイングをチェコの美術館の学芸員の責任者の特別許可を得て、手袋の上から触れさせてもらえるという幸運を得た。
当時、学芸員のかたのお話では、「日本人でこのドローイングを見に来たのは、私の知る限りあなたが初めてです。」とのこと。
ペンで描かれていて大変繊細なため、作品保護の観点からプラハでも通常は展示はされておらず、厳重に保管されている。
作者の息吹を感じさせる筆運びならぬペンさばきはペン画ならではだ。
専門家でもその作品を見るのには、大変厳しい審査があり、通常は却下されると言われた。
その作品が日本に来ているのだから、この作品を鑑賞するだけでもこの展覧会には行く価値があると思う。
青の淡彩の一見地味な作品だが、ぜひ注目していただきたい。
ジュゼッペ・アルチンボルド《自画像》 ペン、青の淡彩 プラハ国立美術館蔵 ©2017 National Gallery in Prague
この展覧会では、この他に世界各地の主要美術館が所蔵するアルチンボルドの油彩約10点（そのうち日本初出展は何と9点!!!）や素描を中心に、およそ100点もの作品が展示されている。
ジュゼッペ・アルチンボルド《庭師／野菜》 油彩/板 クレモナ市立美術館蔵
Sistema Museale della Città di Cremona - Museo Civico "Ala Ponzone" / Museo Civico "Ala Ponzone" - Cremona, Italy
ジュゼッペ・アルチンボルド《司書》 油彩/カンヴァス スコークロステル城蔵
©Skokloster Slott/Samuel Uhrdin
レオナルド・ダ・ヴィンチにもとづく(？)《3つのグロテスクな頭部（売春の場面）》 1550 年頃（?） ペン、茶色のインク/紙 ロンドン、大英博物館蔵 ©The Trustees of the British Museum
レオナルド・ダ・ヴィンチにもとづく《3 つのカリカチュア》 ペン、インク ロンドン、大英博物館蔵 ©The Trustees of the British Museum
ジュゼッペ・アルチンボルド《紙の自画像（紙の男）》 1587 年 鉛筆、ペン、インク、水彩、灰色の淡彩/紙
ジェノヴァ、ストラーダ・ヌオーヴァ美術館ロッソ宮蔵 Genoa, Gabinetto Disegni e Stampe di Palazzo Rosso
花、果物、野菜などで描かれた人物画の画家といえば、アルチンボルドの名を知らなくともイメージが掴めるほどインパクトのある作品。
その奇想と知、驚異と論理とが分かちがたく交錯するそれらの絵画は、暗号のようにして豊かな絵解きを誘い、20世紀のシュルレアリスム以後のアーティストたちにも、大きな刺激を与えた。
筆者は、歌川国芳も「みかけハこハゐがとんだいゝ人だ」などの作品でアルチンボルドの作品の影響を受けているのではないかと密かに思っている。
遠く極東の日本の浮世絵にまで影響を与えていたとなると美術のロマンは広がる。
参考 http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01-1
この展覧会は巡回しない。各所蔵美術館の看板とも言うべき名作・マスターピースを借用しており、また、個人所蔵の普段は鑑賞できない作品も多い。
長期間の借用は無理というのももっともな話だ。
これほどの展覧会は、まずお目にかかれまい。
ぜひお見逃しなく。
ジュゼッペ・アルチンボルド《水》 1566 年 油彩/板 ウィーン美術史美術館蔵 © KHM-Museumsverband
ジュゼッペ・アルチンボルド（？）《大気》 油彩/カンヴァス スイス、個人蔵
ジュゼッペ・アルチンボルド（？）《火》 油彩/カンヴァス スイス、個人蔵
ジュゼッペ･アルチンボルド《大地》 1566 年（？） 油彩/板 リヒテンシュタイン侯爵家コレクション蔵
©LIECHTENSTEIN,The Princely Collections,Vaduz-Vienna
会期：2017年6月20日（火）～2017年9月24日（日）
開館時間：午前9時30分～午後5時30分
毎週金・土曜日：午前9時30分～午後9時
※入館は閉館の30分前まで
休館日：月曜日（ただし、9月18日は開館）
主催：国立西洋美術館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
協賛：損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、ブレンボ、三井住友銀行
協力：アリタリア‐イタリア航空、全日本空輸、西洋美術振興財団
観覧料金：当日：一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円 中学生以下は無料。
☆国立西洋美術館サイト
http://www.nmwa.go.jp/
☆展覧会特設サイト
☆スライドトーク
展覧会のみどころや主な作品について、スライドを使って説明。
日時：2017年9月8日（金）18:00～（約30 分）
会場：国立西洋美術館講堂（地下2階）
解説者：原田亜希子（慶応義塾大学講師）
定員：先着130名（聴講無料。ただし、要 本展の観覧券（半券可）。）
※直接講堂に集合（開場時間は開演の30分前）。
ジュゼッペ･アルチンボルド《四季》 1590 年頃 油彩/板 ワシントン、ナショナル・ギャラリー蔵
National Gallery of Art, Washington, Paul Mellon Fund, 2010.77.1
ジュゼッペ・アルチンボルド《ルドルフ 2 世に献じられた馬上試合の装飾デザイン集＜コック＞》 1585 年 ペン、青の淡彩／紙 フィレンツェ、ウフィツィ美術館 素描版画室蔵
Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi
ヤーコポ・リゴッツィ《ハチクマ》 黒鉛、水彩、テンペラ／紙 フィレンツェ、ウフィツィ美術館 素描版画室蔵
Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi
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