京都大学交響楽団
第201回定期演奏会
(Kyoto University Symphony Orchestra)
客演指揮:北原幸男
撮影 浦 典子
昨年の2016年100周年を迎えた京都大学交響楽団。
その第201回定期演奏会が、2017年06月14日(水)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールにて開催された。
タンペレフィルのコンサートが開かれたコンサート会場でチラシを渡された際、「京大オケです。ぜひお越しください。」と短い時間で端的に説明していた。
そのさまには、単なる雇われビラ配りではない熱意が感じられた。
「今、タンペレフィルの素晴らしい演奏を聞いたところなので上手な演奏じゃないと・・・。」と筆者が言うと、「アマチュアですが、昨年、100周年を迎えました。今、一生懸命、頑張っています。」 爽やかだった。
チラシ配りひとつをとっても、受け取る側の立場を考えながらできる人はなかなかいない。
筆者は、髙島屋での新入社員の時、エスカレーター前で生まれて初めてチラシ配りを「やらされた」ことがあった。
当初、大変恥ずかしく、「やらされている」感がいっぱいでこんなところを誰かに見られたらどうしょうと思ったものだ。
しかし、「私は、髙島屋の正社員。日本一のチラシ配りの仕事をしてやる。」と思い直し、試行錯誤の上、いかにアイコンタクトを取りながら、宣伝しながら配るかに心を砕いた。また、印刷コストも考え、チラシを無駄にされたくないので、工夫した。
すると「ありがとう。」と言って下さるお客様が増えたのだ。
全日空の客室乗務員をしていたため、その接客法を教えることは、髙島屋に入る前にも少し経験はあった。しかし、航空会社と一般の会社では、大きな隔たりがあったことも否めなかったのだ。そして、その経験からチラシ配りやもっと身近な接客応対を教えることができるようになったのだ。
団員だという彼からは、押しつけがましさはなく、誇りを持ってチラシを配っていることが感じ取られた。
筆者のその経験が頭をよぎったので、こんな団員がいる京大オケなら、演奏もよいのではないかと思い、名刺を渡した。
「担当者にすぐ伝え、ご連絡します。」とその団員は筆者に言った。
すると翌日には、連絡が来た。何というスピードだ。
海外の担当者は、朝e-mailを入れておくと遅くとも11時ごろにすべての手配ができているというスピード感だ。
日本の担当者は、早くて一日。遅いと再送をしてもなかなかレスポンスが来ないことが多い。
これが、日本の一人当たりのGDPが低いことの原因のひとつと筆者は考えている。
参考 http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-24
しかし、さすが京大だ。
応対の速さや親切さは、オケの実力に比例することは、筆者は、体験済みだ。
このようなやり取りがあり、当日、筆者は取材にあがった。
まず、会場に入るや否やのお出迎え。
「いらっしゃいませ。お越しいただきましてありがとうございます。こちらへどうぞ。」とソツがない。
社会人になる前の学生が社会人よりしっかり接客をしてくれる。
チケットブースでも、「お待ちしておりました。」と大変気持ちいい応対。
なかなかこのように爽やかな応対はしてくれないのが現実だ。
学生だから、社会経験がないからと思っていたが、正直、驚いた。
そして、演奏が始まると、素晴らしいハーモニーと迫力ある重厚な響き。
100人強の団員による厚みのある見事な演奏には圧倒された。
幼い頃からの練習の成果が実を結んだのであろう。
学問だけでなく広い意味での賢さと音楽は相関関係にある。
決して完璧な演奏ではなかったが、ほぼパーフェクトと言っていいだろう。
その静謐さは聞く人の心を打つものがある。
西宮公演を見逃した方も6月16日(金)に京都コンサートホールにて同じプログラムの演奏会が開催される。
本拠地、京都ではさらなる素晴らしい演奏を聞かせてくれるだろう。
当日券はA席のみあり。残席は数に限りあり。
クラシックコンサートは、初めてというかたは、まず、京都大学交響楽団から始めていただきたい。チケット代金は破格の安さといえるだろう。
また、京都大学交響楽団のコンサートに行きたいかと聞かれたら、答えは大きく「YES」だ。
今後も京都大学交響楽団には目が離せない。
年2回の定期演奏会、年1回の夏の演奏旅行、ジョイントコンサート、5年に一度の東京公演他、積極的な演奏活動を行なっている。
曲目:
O.ニコライ : 歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
A.ドヴォルザーク : 交響詩「真昼の魔女」op.108
P.I.チャイコフスキー : 交響曲第5番 ホ短調 op.64
☆公演情報:
2017年06月14日(水)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
18:00開場 19:00開演
2017年06月16日(金)
京都コンサートホール 大ホール
18:00開場 19:00開演
チケット価格:
西宮公演
S席:1,500円
A席:1,000円
京都公演
S席:1,500円
A席:1,000円
☆京都大学交響楽団
1916年12月、本学医学生、深瀬周一氏の尽力により、ヴァイオリン五線会を母体とし、「学生交響楽運動の推進、音楽の啓蒙活動、市民交響楽団の結成」をスローガンに掲げ、京都を「音楽芸術のメッカ」とすることを目的に創立。
大阪フィルハーモニー交響楽団の母体となる関西交響楽団を設立した朝比奈隆などの多くの著名な音楽家を輩出。
本邦初演:
チャイコフスキーの「白鳥の湖」「交響曲第6番悲愴」
ベートーヴェンの「コリオラン序曲」「交響曲第2番」
ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」
関西初演:
ベートーヴェンの「交響曲第9番」
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