篠山紀信展 写真力
THE PEOPLE by KISHIN
1950年代後半から今日にいたるまで、写真の第一線を走りつづける篠山紀信(1940−)。
その篠山紀信が2012年の熊本市現代美術館を皮切りに80万人が来場した大規模な個展が、横浜美術館で開催中だ。
「ジョン・レノン オノ・ヨーコ 1980年」
横浜美術館は、国際的な港町、横浜にふさわしい美術館で、開港以降の近・現代美術が
幅広く鑑賞できるほか、年間を通じて、約1万点の所蔵品からテーマごとに展示を行うコレクション展
を行なっている。
また、多彩な企画展を開催し、その質の高さは定評がある。
筆者は、以下などで記しているので参照されたし。
☆マックス・エルンスト フィギュア × スケープ
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20-1
☆奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-09-02
☆はじまりは国芳-江戸スピリットのゆくえ
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04
☆プーシキン美術館展 フランス絵画300 年
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-07-25
☆岡倉天心生誕150年・没後100年記念 /『國華』創刊125周年 / 朝日新聞創刊135周年
「横山大観展―良き師、良き友」
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
また、横浜美術館は、2013年パリのケ・ブランリ美術館(Musée du quai Branly)で開催されたフランスの版画家で黒田清輝に幼少の頃教えを受けたポール・ジャクレー(Paul Jacoulet)の展覧会に協力するなどその活躍はグローバルだ。
筆者がその展覧会に取材に上がった際、横浜美術館の名前を見つけ、同じ日本人として誇らしく感じたものだ。
さて、この「篠山紀信展 写真力」は、全国各会場で80万人もの観客が鑑賞し、好評を博して来た。
篠山紀信の展覧会を世界に向けて発信する上で、横浜という国際的な港町に位置する美術館で行なうことは意義深い。
大阪のグランフロント大阪北館ナレッジキャピタルB1F イベントラボで行われた展覧会
については以下で記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2014-05-08
九州展については、以下で記している。
https://art-news-jp.jimdo.com/2017/01/18/篠山紀信展-写真力-the-people-by-kishin/
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2017-01-18
関東地区の読者からも筆者の上記の記事を見て横浜展に行って来たとのメッセージを多数
すでに受けており、うれしい限りだ。
さて、篠山紀信は、有名人のポートレートを中心に、約50年にわたり撮影して来た。
時代に先駆け、また、時流に乗った篠山紀信の活動は賛否両論を巻き起こして来たことも事実。
「山口百恵 1977年」
この展覧会では、そんな篠山紀信の写真の中からとびきり「写真力」のある作品を選び、巨大な展示空間にあわせダイナミックに引き伸ばしている。
実際に見てみないとわからない、そのスケール感には圧倒されるくらいだ。
「夏目雅子 1982年」
それでは、この展覧会のタイトルである「写真力」とはいったい何なのか?
篠山紀信は「写真の力が漲った写真」であり、撮られた者も、撮った者も、それを見る人々も、唖然とするような「尊い写真」だと言う。
本展は、篠山紀信自身が「写真の神様が舞い降りてくれた」と認める決定的な作品ばかりを一堂に会する展覧会だ。
半世紀におよぶ時を越えた作品を集めたこの空間は、時の流れを感じると共に、我々が生きてきた時代や社会を文字通り写し出すものだ。
写真というメディアに内在する強力なエネルギーを体感できる場でもある。
「宮沢りえ 1991年」
「ウラジーミル・マラーホフ 1998年」
この展覧会で筆者が最も感動したのは、東日本大震災で被災された人々の肖像だ。
いわゆる「ドキュメンタリー」とは距離をとってきた篠山紀信。
しかし、東日本大震災という未曾有の災害を前に、写真家としてそれを「無かったこと」にすることは出来なかったと語る。
一切の演出も指示もなしに、ありのままを受け止める姿勢で、被災者たちの立ち姿をカメラに収めたのだ。
深い悲しみがあるはずなのにその表情は、大げさに悲しみを表すのではなく、悲しみを押し隠すようだ。
東北の方々の純朴な人柄が感じられる。
それだけに胸を締め付けられるような慟哭を感じさせられた。
写真を撮った方も撮られた方も両方に尊敬の念を抱かざるをえない。
これらの作品は篠山紀信の新たな挑戦となり、新分野を開拓したことになる。
「黒柳徹子1968年」
出品作品は大阪展や九州展と少し違い、横浜展特別セレクションの作品に大注目!
磯子区出身の昭和の歌の女王、美空ひばり。
伊勢佐木町で路上ライブを行なっていたゆず。
横浜に暮らす人々のために横浜展ならではと紀信自身がセレクトいた作品をぜひお見逃しなく。
「美空ひばり 1986年」
「ゆず ゆっぴ 2008年」
同時開催の常設コレクション展もぜひ鑑賞されたし。
☆構成
GOD鬼籍に入られた人々
STARすべての人々に知られる有名人
SPECTACLE私たちを異次元に連れ出す夢の世界
BODY裸の肉体―美とエロスと闘い
ACCIDENTS2011年3月11日―東日本大震災で被災された人々の肖像
会場
横浜美術館
会 期
2017年1月4日(水)~2月28日(火)
休館日
木曜日 ※ただし、2月23日(木)は開館
開館時間:
午前10時~午後6時
※2月23日(木)は午後4時、24日(金)は午後8時30分まで(入館は閉館の30分前まで)
観覧料
当日 一般1,500円、大学・高校生900円、中学生600円 小学生以下無料
団体 1,400円 800円 500円
65歳以上 1,400円(要証明書、美術館券売所でのみ対応)
※団体は有料20名以上(要事前予約)
※毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※観覧当日に限り「篠山紀信展 写真力」の観覧券で横浜美術館コレクション展も観覧可
主催
横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)、読売新聞社、日本テレビ放送網、美術館連絡協議会
協賛
ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜
協力
松竹株式会社、横浜高速鉄道株式会社、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社
企画協力
後藤繁雄事務所+G/P gallery
お問合せ
横浜美術館 TEL.045-221-0300(10:00~18:00、木曜日及び年末年始休)
☆横浜美術館
☆特設サイト
☆学芸員によるギャラリートーク
2/11(土)、2/25(土)いずれも15:00から約30分。
☆「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」連動企画 特別資料展示
会期 2017年1月4日(水)~2017年3月22日(水)
時間 10時~18時
休室日 木曜日
料金 無料
場所 美術情報センター
☆「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」連動企画 関連資料コーナー
篠山紀信の作品発表の場として親しまれてきた写真雑誌『アサヒカメラ』を中心に、篠山紀信の写真作品や対談などが紹介された雑誌を展示。
会期 2017年1月4日(水)~2017年4月14日(金)
時間 10時~18時
休室日 木曜日
料金 無料
場所 美術情報センター
☆読者プレゼント
5組10名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:http://art-news-jp.jimdo.com
にてUPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
☆ご意見・ご要望・ご感想のお願い
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