鈴 木 其 一
江戸琳派の旗手
Standerd-bearer of the Edo Rimpa School
鈴木其一 富士千鳥筑波白鷲図屛風(右隻) 個人蔵
近年、ますます評価が高まっている鈴木其一(きいつ)(1796年~1858年)。
その初の大回顧展が細見美術館で開催中だ。
先日、以下の記事でご紹介した姫路市立美術館の巡回展だ。
参照されたし。
https://art-news-jp.jimdo.com/2016/12/21/鈴-木-其-一-江戸琳派の旗手/
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-12-21
京都や関西地区の読者からも筆者の姫路展の記事を見て細見美術館の展覧会に行って来たとのメッセージを多数すでに受けている。
筆者記事がお役に立ったのなら、喜ばしい限りだ。
鈴木其一は、大名家の名門・姫路酒井家の次男、酒井抱一(1761年~1828年)の最も秀でた弟子で、優れた画才を発揮し、早くから師、抱一の厚い信頼を得ていたことでも有名。
本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)(1558年 永禄元年~1637年 寛永14年)元和元年(1615)に
徳川家康から京都の西北に位置する鷹峯(たかがみね)の地を拝領し、光悦村という芸術村を
開いてから、去年(2015年)400年を迎えた。
そのため、琳派400年と称して昨年、多くの美術館で琳派展が行なわれたことは記憶に新しい。
琳派400年関連の展覧会は以下で記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-04-05
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-05-25
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07-1
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-15
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-10-23
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-11-13
江戸初期の京都で俵屋宗達(生没年不詳)ら(17世紀前期に活躍)が創始した琳派。
その約100年後、尾形光琳(1658年~1716年)を経て、江戸時代には絵画の中でも
最も華麗な装飾様式として確立された。
さらにその約100年後に、江戸の地で琳派の再興を図ったのが酒井抱一だ。
抱一は京都の琳派様式からさらに写実的で洗練された草花図を描くようになり、
後に江戸琳派と呼ばれる独自の様式を確立した。
其一は1813年(文化10年)、抱一に入門。
4年後に兄弟子で酒井家家臣の鈴木蠣潭(れいたん)の急死を受け、其一は鈴木家の家督を継ぐ。
抱一の没後は、多くの弟子を育成して江戸琳派の存続に大きく貢献した。
この展覧会では、
1.江戸琳派画風を習得する弟子時代
2.転換を試みる「噲々(かいかい)」時代
3.息子守一(しゅいつ)に家督を譲り、「菁々(せいせい)」と称した晩年
と、其一の生涯と画風の変遷をたどる構成。
日本国内の代表的な作品が展示されていることはもちろんのこと、中でも特筆すべきは米国メリーランド州にあるファインバーグ・コレクション(Feinberg Collection)から《群鶴図屛風》をはじめとする其一の代表的な作品が出品されていること。
ファインバーグ・コレクションとは、米国メリーランド州の日本美術コレクターであるロバート・ファインバーグ(Robert Feinberg)夫妻が一代で蒐集した、江戸絵画を中心とする日本美術のコレクションだ。
ファインバーグ・コレクションの中からハーバード アート ミュジーアム(the Harvard Art Museums—the Fogg Museum, Busch-Reisinger Museum, and Arthur M. Sackler Museum)において去年、展覧会”Japanese Art from the Edo Period: The Feinberg Collection I” が開催された。
http://eaa.fas.harvard.edu/japanese-art-edo-period-feinberg-collection-i
江戸時代の民間画派の、自由で活気に満ちた肉筆画の作品が中心で作品も質が高く、全体として上品な雰囲気を持っていることも大きな特徴といえよう。
鈴木其一 三十六歌仙・檜図屛風 個人蔵
その他、愛知県美術館、細見美術館や姫路市立城郭研究室蔵や個人蔵のコレクションが展示されている。
展示替えがあり、現在は、後期の展示がなされている。後期の見どころは、細見美術館蔵の《水辺家鴨図屛風 》 。
《水辺家鴨図屛風 》 江戸時代後期 細見美術館蔵 後紙本金地著色 後期展示
琳派の細見美術館と言われる細見美術館において其一の初の大回顧展が開催されることの意義は大きい。
この展覧会は、今後の美術史上重要な役割を果たすに違いない。
個人コレクターの作品はなかなか鑑賞することが難しい。このチャンスをお見逃しなく。
其一の初の大回顧展が21世紀になって初めて開催されるなんて遅いくらいだ。
評価されるだけの力量を持つ其一。
琳派を語る上で、欠かせない画家だ。
他の琳派の絵師より知名度は高くないが、この展覧会で其一の名が認知されたと感じる。
もっともっと其一を知りたいと思えるような展覧会だ。
[会 期] 平成29(2017)年 1月3日(火)- 2月19日(日)
開館時間:午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)
作品の展示替えがあり。
前期: 1月3日(火)- 1月22日(日)
中期:1月24日(火)- 2月5日(日)
後期:2月7日(火)- 2月19日(日)
[休 館 日] 月曜日 (祝日の場合は、翌火曜日)
[会 場] 細見美術館
[ホームページ]
http://www.emuseum.or.jp/exhibition/ex051/index.html
[入館料] 一般 1,300円(1,200円) / 学生 1,000円(900円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者の方は、障がい者手帳などのご提示でご優待
(一般 1,300円→1,200円 / 学生 1,000円→900円)
【リピーター割引】本展半券チケットの提示で、次回入館料が割引(会期中有効)
(次回ご来館の際は、細見美術館窓口にてチケットをお求めのこと。)
一般 1,300円→1,100円 / 学生1,000円→800円
主 催 : 細見美術館 読売新聞社
協 賛 : 光村印刷
☆読者プレゼント
10組20名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
速達対応いたします。
☆巡回予定
2017年1月3日(土)~2月19日(日)細見美術館
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