日伊国交樹立150周年特別展
アカデミア美術館所蔵
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
Venetian Renaissance Paintings from the Gallerie dell'Accademia, Venice
初来日!巨匠ティツィアーノ、晩年の祭壇画の大作《受胎告知》(サン・サルヴァドール聖堂)、特別出品!
東京・国立新美術館において で2016年7月13日(水)から10月10日 (月・祝)まで、開催され、好評を得た、「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」が、大阪の国立国際美術館で開催中だ。
写真撮影 すべて 浦 典子 撮影においては美術館のアクレディテーション取得済み
アカデミア美術館(Gallerie dell'Accademia)は、ヴェネツィアの美術アカデミーが管理していた諸作品を礎として、今から約200年前の1817年に開館した、歴史のある美術館だ。ちなみに日本では、江戸時代後期、町人文化が花開いた化政文化時代だ。
1750年、ヴェネツィア出身の画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ピアツェッタにより創設された「美術学校(アカデミア)」が前身。
14世紀から18世紀にかけてのヴェネツィア絵画を中心に、約2,000点を数えるコレクションを有し、ヴェネツィアを代表する美術館だ。
プロポーションの法則に基づいたレオナルド・ダ・ヴィンチ作の『ウィトゥルウィウス的人体図』を所蔵する美術館といえばわかりやすいであろう。
☆アカデミア美術館(Gallerie dell'Accademia)
http://www.gallerieaccademia.it
日本とイタリアの国交樹立150周年を記念し、ジョヴァンニ・ベッリーニからカルパッチョ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼまで、名だたる巨匠たちの傑作が一堂に会する、大変豪華な展覧会だ。
近年、ヴェネツィアは、ますます評価が高まって来ており、各地で展覧会が開かれている。
奇しくもハンブルグの市庁舎の隣にあるBucerius kunst forum でもヴェネツィア展が開催中だ。(同じく2017年1月15日(日)まで)
http://www.buceriuskunstforum.de
また、日本で行われた、世界遺産 ヴェネツィア展については、筆者は以下などで記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2011-12-19
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-07-05
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19
この原稿を書くにあたり、筆者が2010年にヴェネツィアを訪れた時の画像を探すと、到着後、翌日にはアカデミア美術館を真っ先に訪れていたことがわかった。
上空から見たヴェネツィア
リアルト橋、スカルツィ橋、コスティトゥツィオーネ橋とともに、カナル・グランデにかかる四つの橋の一つであるアカデミア橋のたもとにそびえる巨大で優美な美術館だ。
そんな美術館の収蔵作品の中から選りすぐりの名作57点が来日しているのが、この展覧会なのだ。
そして、ヴェネツィアのルネサンスに的を絞っているのが、この展覧会の特徴だ。
ルネサンス(仏: Renaissance)とは、「再生」や「復活」を意味するフランス語で、14世紀にイタリアで始まった。
古典である古代ギリシアやローマの文化を復興しようとする文化運動であり、やがてフランス、ドイツ、オランダなど西欧各国に広まった。
イタリアでは、フィレンツェ、ミラノ、ローマ、ヴェネツィア、ナポリ、フェッラーラなどの都市でルネサンスが起こったが、イタリアひとくくりで考えられていて、その地域性については一般的にはあまり知られていない。もちろん、詳しいかたは否定されるであろうが・・・。
ルネサンス発祥の地であるフィレンツェの画家たちは、明快なデッサンに基づき丁寧に筆を重ねる着彩、整然とした構図を身上とした。
一方、ヴェネツィアの画家たちは、自由奔放な筆致による豊かな色彩表現、大胆かつ劇的な構図を持ち味とし、感情や感覚に直接訴えかける絵画表現の可能性を切り開いていった。
この展覧会の担当である国立国際美術館 中井康之学芸課長は、
「これらは、よく知られていることだが、この展覧会の作品群を見るまでは、もうひとつその違いを認識できなかった。しかし、この展覧会に陳列した作品群を見ることによって色彩的な効果が明らかに違っていることを実感した。今回の展覧会は、その時代の特色を具現化するものだ。
そして、この展覧会の大きな見どころは、ヴェネツィア、サン・サルヴァドール聖堂(Venice, Church of San Salvador)所蔵のティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio)の『受胎告知』だ。 410 × 240 cmのスケール感を実感していただきたい。
教会に在ることの意味は大きいのだが、絵として見るためには少々暗い。美術館施設の中で適切なライティングを施すことによって芸術作品として鑑賞していただけることができると思う。
マリアが驚いているポーズもティツィアーノが独自に考え出したものである。
図版で見ているだけでは体験できないと思う。ぜひ、多くのかたがたに体験していただきたい。」
と、アートニューズの読者のために語って下さった。
この展覧会では、ヴェネツィアでのルネサンスについての特徴を誰にでもわかりやすいように大変苦心し、作品を選択されていることがよくわかる。
ヴェネツィア盛期ルネサンス最大の巨匠ティツィアーノ、晩年の祭壇画の大作《受胎告知》(サン・サルヴァドール聖堂)が特別出品されていることは、特筆すべきこと。
この作品は、美術館にあるわけではない。人々の信仰の対象である教会に位置する。
キリスト教最大の祭事であるクリスマスの時期に大阪に貸し出してくれていることに感謝したい。
先日ヘルシンキで、フィンランド国立美術館(National Museum of Finland)の「The Renaissance. Now - from Raphael to Titian,」展の記者内覧会で国立美術館のMinerva Keltanen主任学芸員からST ARTの Dr. Davide Sandrini を紹介された。
この展覧会はフィンランドに初めてラファエロ作品が来たという。ミケランジェロは来たことはあるが、ダ・ヴィンチは全く来たことがない。日本には、多くのイタリア作品が来る展覧会があって羨ましいとも言われた。
彼女は、大変美しく親切な学芸員でさっそく、弊サイトの読者のためにメッセージを送って来てくれた。
Dear Noriko,
It was very nice meeting you in our press conference. I send you hereby some info of the exhibition and the frescoes:
The Frescoes of the National Museum of Finland
The ceiling frescoes in the museum entrance hall were painted by Akseli Gallen-Kallela (1865–1931), who painted subjects from the Finnish national epic – Kalevala – all his life. His images have had a greater impact on the Finnish conception of Kalevala than those of any other artist. Fresco is a technique of mural painting – which means painting directly upon freshly-laid or wet lime plaster – with the technique having been used since antiquity. In 1897, Gallen-Kallela visited Florence and Pompeii in Italy, to study the old fresco techniques.
The National Museum’s paintings are an adapted replica of Gallen-Kallela’s frescoes for the Finnish Pavilion at the Paris World’s Fair of 1900. The pavilion had been designed by the architects Gesellius, Lindgren and Saarinen, who also designed the museum. However, both the pavilion and the frescoes were destroyed after the fair. From the initial phases of their planning, the architects wanted to recreate the frescoes at the National Museum, however, owing to lack of funds, the frescoes were not painted until 1928.
Only one of the four original subjects was changed; instead of the Victory of the Christianity Gallen-Kallela chose to paint Väinämöinen’s Departure. The other three subjects are The Forging of the Sampo, The Defense of the Sampo, and Ilmarinen Ploughing the Viper-field. All the subjects are taken from the Kalevala, but they also represented the four Finnish main sources of livelihood: farming, hunting and fishing, trade, and industry.
The objects depicted on frescoes, tools, boats, weapons etc. are painted according to real ancient models. The rib decoration has its origin in the Finnish Mediaeval churches. Three of the frescoes are also marked by some famous men of the day who visited to see Gallen-Kallela’s works in process: King Christian II of Denmark, the General and Baron C. G. E. Mannerheim and the Finnish composer Robert Kajanus.
The Renaissance. Now! From Raphael to Titian (23.9.2016 – 15.1.2017)
The exhibition presents for the very first time in Finland great North-Italian Renaissance masters like Raphael, Titian, Tintoretto, Moretto, Moroni and Lorenzo Lotto. Also two female artists from the same family, Sofonisba Anguissola and her younger sister Lucia Anguissola, are displayed. Most of the paintings are on loan from Pinacoteca Tosio Martinengo, in Brescia, Italy. Aside by the paintings, the exhibition shows some arms and armors from the 16th century Brescia, a dowry chest and some coins and medals and archeological objects.
This is the National Museum of Finland's Centenary Year Exhibition. The exhibition comes to the National Museum of Finland from Poland, where it was on display earlier this year. After Helsinki, the exhibition will be put on show in the Netherlands.
The Renaissance was a period between the Middle Ages and the Early Modern Age, from the 14th to the late 16th century. The period changed people’s thinking, culture, science and art. In visual arts, the Renaissance manifested itself as more realistic representations of the human body and space and new motifs. In the Middle Ages, art was predominantly religious, but the Renaissance allowed artists to explore other themes, such as scenes from antiquity, landscapes and portraits. Antiquity was an important source of inspiration.
“What fascinates me about the Renaissance is how people turned their eyes to history. The new culture was inspired by things that happened a thousand years ago. It is an excellent example of how the past serves as a foundation of the present”, says Head of Exhibitions Minerva Keltanen.
The ideal of realistic depictions in visual arts dates back to the antiquity. No actual artworks survived from the period, but Renaissance painters read about their ancient forerunners in written sources. In the Middle Ages, spiritual life assumed the leading role in visual arts. In the Renaissance, the attention shifted back to realism, and artists worshipped physical beauty.
All the best,
☆フィンランド国立美術館(National Museum of Finland)
http://www.kansallismuseo.fi/en/nationalmuseum
ST ART社は、フィンランド国立美術館の展覧会と国立国際美術館の両方の展覧会に関わりのある作品が展示されているとのことであった。
そんな会社があるとはつゆ知らなかったが、一つの展覧会を開催するには、多くの人々の尽力によってなされているということ、イタリアから作品を借りることがいかに難しく複雑かを、遠くヘルシンキから学んだ。
アート先進国のフィンランドでさえ、ラファエロ作品が初めて来たということに筆者は驚愕を覚えた。
そして、日本に居ながらにして多くの美術作品を鑑賞できる有難さを身に染みて感じた。
教会所蔵の作品を日本国内で鑑賞することは難しい。
また、イタリアでは取材のアクレディテーションを取ることが大変困難だ。2010年の筆者の取材に快く許可を下さったアカデミア美術館。
筆者の取材に協力してくれ、それ以降、ずっとプレスリリースを送って続けてくれているヴェネツィア市。
ComunicareVenezia - Agenzia multimediale di informazione istituzionale
www.comunicarevenezia.it
この場を借りてすべての関係者の皆様に御礼を申し上げたい。
そんな見方でこの展覧会を鑑賞してみるのもまた違った楽しみに仕方があるように思える。
この展覧会は、2館のみでしか開催されない。
このチャンスをお見逃しなく。
また、国立国際美術館では、「プレイ展」も開催中。
開催期間
2016年10月22日(土)〜 2017年1月15日(日)
休館日
月曜日、12月28日(水)〜1月4日(水)
ただし、1月9日(月・祝)は開館し翌日休館
開催会場
国立国際美術館
〒530-0005 大阪市北区中之島 4-2-55
The National Museum of Art, Osaka
4-2-55, Nakanoshima, Kita-ku, Osaka 530-0005
開館時間
10時〜17時
金曜日は10時〜19時
(入場は閉館の30分前まで)
主催
国立国際美術館、TBS、朝日新聞社、MBS
後援
外務省、イタリア大使館
協賛
日本写真印刷
協力
アリタリア−イタリア航空、日本貨物航空、アルテリア、日本通運、ダイキン工業現代美術振興財団、安藤忠雄文化財団
☆ホームページ
☆公式ウェブサイト
http://www.nmao.go.jp/exhibition/2016/accademia.html
☆プレイ展 ギャラリー・トーク
1月13日(金)19:00からB2階展示室にて
講師:橋本梓館主任研究員)
※無料
※約30分
☆読者プレゼント
10組20名様にご招待券 プレゼント
あて先 : loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:展覧会名と会場名
本文:ご住所、お名前
をお書きの上どしどしご応募下さい。
締切:http://art-news-jp.jimdo.comにてUPした日の午前零時
発送をもって当選と代えさせていただきます。
速達対応いたします。
☆ご意見・ご要望・ご感想のお願い
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あて先 :loewy@jg8.so-net.ne.jp に
件名:アートニューズ ご意見・ご要望・ご感想
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