芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション
(Text)tiles by SERIZAWA KEISUKE, from the Kaneko Kazushige Collection
5月8日まで! お見逃しなく!
すべて 画像提供 東京国立近代美術館
《型染伊呂波文六曲屏風》1958年
「り」には龍「く」には栗など「いろは~」それぞれの文字のモチーフが添えられている。
東京国立近代美術館 工芸館企画展ギャラリーにおいて、芹沢銈介の展覧会が開催中だ。
筆者は、昨年の2015年、「生誕120年記念 デザイナー芹沢銈介の世界展」について以下で記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27
型絵染の人間国宝、芹沢銈介(1895~1984)。
芹沢銈介は日本を代表する染色家であり、その評価は国内にとどまらず、生前、大成功を収めたパリ展をはじめ、アメリカ、イギリス、ロシアなどでも個展が開催されたほどだ。
芹沢銈介がフランス政府招聘により1976年、パリ・グランパレにて大規模個展「SERIZAWA」が開催されたことも大変意義深い。というのも、パリのグランパレは、日本の特別展とは比べ物にならないほど、質、量ともにかなりしっかりした内容の展覧会を開催することで定評がある場所だからだ。
日本の特別展の約2倍以上の展覧会をイメージするとわかりやすい。
1981年に フランス芸術文化勲章(L'Ordre des Arts et des Lettres)のオフィシエ(将校))を受賞したことも当然であろう。
《鏡に描いた自画像》1971年
この展覧会は、2015年にアジア民族造形研究所所長でアジア民族造形研究の先達である金子量重(かねこかずしげ)から寄贈された芹沢作品430点を核として構成している。
「型絵染」という概念を引き出した芹沢銈介の作風は、堅固な型と確かな構図に特徴があり、華やかな色、楽しい配色、晴れやかでありながら底に深さと静けさを見るといわれる。
これは、芹沢銈介が紅型について語った言葉が、ここに描述された様相はそのまま芹沢の作品に重なるようだ。
金子量重の選択眼と共に芹沢との深い信頼関係が築き上げたこの貴重なコレクション。
屏風やのれん、型染本、カレンダー、装幀からスケッチ、下絵、本の割り付けイメージまで多種多彩な作品が展示されている。
沖縄復帰40周年記念 紅型 BINGATA-琉球王朝のいろとかたち- で筆者は以下のように記している。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2012-11-18
紅型に魅せられて調査・研究・蒐集に努めた、芹沢銈介の功績は大きい。
そしてその影響は、この展覧会の図録の表紙にも活きている。
《新版絵本どんきほうて(別刷) 二 作男さんちょ従へ廻国の門出》1971年
先日、開催された「追悼 山崎豊子展~不屈の取材、情熱の作家人生~」について以下などで記しているので参照されたし。
http://artnews.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
山崎豊子の「ぼんち」などの装丁を行なっていたのが、芹沢銈介だ。
川端康成の「雪国」の装丁も、芹沢銈介だ。
これらの小説が売れた理由の一つが芹沢銈介のデザイン力にあるものであろう。
この展覧会のキーワードは、3つ
「模様」
「もの」
「旅」
《沖縄壺屋》1943年
近い将来、この展覧会と図録は、芹沢銈介研究の核となるであろう。
お見逃しなく。
《沖縄笠団扇文藍地木綿着尺》1960年
会場:東京国立近代美術館工芸館
会期:2016年3月5日(土) -5月8日(日)
開館時間:10:00 - 17:00
※入館時間は閉館30分前まで 休館日:月曜日(5月2日は開館)
観覧料:一般 : 550 (350)円
大学生: 350 (150)円
高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※( )内は20名以上の団体料金およびキャンパスメンバーズ特典料金。いずれも消費税込。
※入館の際に学生証、運転免許証等の年齢のわかるもの、障害者手帳をご提示のこと。
主催:東京国立近代美術館
工芸館へのアクセス:東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩8分
東京メトロ半蔵門線,東西線,都営新宿線九段下駅 2番出口より徒歩12分
☆イベント
タッチ&トーク :展覧会に関連する作品に触れて楽しむ<さわってみよう>コーナー
と会場トークで展覧会の魅力をご紹介。
(会期中毎週水・土曜日)
※いずれも14:00~工芸館会場にて。(申込不要・参加無料(要観覧券))
お問い合わせ先Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)
☆公式HP http://www.momat.go.jp
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